アニメをっち

アニメの感想、持論などを好き勝手に書いております

何から何を守るのか

f:id:woti-samurai:20191030095108j:plain

©サイコパス製作委員会 / 東宝


 刑事物のアニメを含め、職業がテーマになる作品は多くあります。

 消防士に自衛官、医者に弁護士に正義のヒーロー。

  ん……? 何か違うものが混じったでしょうか。

 

 今回、言いたいのは上の職業物なら比較的よくあるテーマ。つまり正義について、です。

 相対的正義、なんてのはナントカ ノ オワリも言ってましたが、そこはスルーして行きましょう。長くなるので。

 

f:id:woti-samurai:20191030100007j:plain

(C)HEADGEAR / BANDAI VISUAL / TOHOKUSHINSHA

 職業的正義です。

 警官だから犯罪者を逮捕する、消防士だからその家にどんな奴が住んでいても火を消す。どんな犯罪者であろうが怪我をしたらその傷を治すetc。

 倫理や個人的感情ではなく、職業だからそれをする、というもの。

 

 それが正しいのかどうか分かりません。まぁ実際問題、その仕事を続けていきたければやるしかないって場合もあるでしょう。

 連続物の作品なら罪を犯すという選択肢は取りにくい。なぜなら読者や視聴者が見ているからです。そんな犯罪に手を染めておきながら、涼しい顔して仕事を続けていたらやっぱり違和感があるでしょう。

 でも、状況によっては見捨てる事も可能だ。という、悪魔が耳元で囁くような状況だってあるはずです。

 

f:id:woti-samurai:20191030101400j:plain

©石ノ森章太郎プロ

 日本でヒーロー物が多く生まれた時期は高度経済成長の前か中ほどだったと推測します。つまりその時期には守るべき物があった、守っていればこの社会は少しでも良くなると信じる事が出来た。

 でも、今はどうなんでしょう。

 バブルが弾けて幸福な未来を信じられなくなった時代に、犯罪者をただ犯罪者だからという理由で捕まえる事は果たして正しいのか。その社会を維持する事で苦しむ人が増えた場合、それは果たして正しいのか。

 

 もちろん社会を変えるのに犯罪という手段を取るべきではないというのは分かります。もちろん平和的な手段で変化が起こるべきだとは思いますが、言いたい事は犯罪如何の話ではないです。

 変わりつつある社会の萌芽を職業的正義によって摘み取られる可能性、そんな事を考えてしまいます。

 

f:id:woti-samurai:20191030101944j:plain

© 堀越耕平集英社僕のヒーローアカデミア製作委員会

 秩序は大事だけれどその秩序によって苦しむ人が多く居た場合。下手したらそこに暮らす人の半数以上が苦しむような秩序の中に生きていたとして、その秩序は守るべきものなのかどうか。

 例えばブラック企業で社長すら寝る時間なく働いていて、誰一人特をしない会社があったとします。それを崩壊させようとする人間は果たして悪なのか。

 

 

 犯罪は犯罪だ、と言ってしまえばそれまでですが、手続きによって変えられるように成るまでに出た犠牲者にはどうやって報いるのだろう等々。

 疑問に感じてしまいます。

 

f:id:woti-samurai:20191030102221j:plain

©ONE・村田雄介集英社・ヒーロー協会本部

 刑事物やヒーロー物はこれからも出続けるだろうし、それが精神的に追い詰められた人たちの心の支えになる事もあるでしょう。

 でも、「守る事、それこそが正義だ」と言われてしまうと違和感しか感じません。

 

 守るというのが能動的のようであって、実はただの維持であり消極的な行為である。という事です。

 そこに変化や新しさはない。それでも他人に強制的に変えられるのが良いか、と言われるとそれも難しいところですが……。

 

 

 何か思ったより長文になってしまいました。お付き合い頂いた方には感謝します。 それでも正義の話になるとまた何か書きたくなってしまう……ぐふぅ。