アニメをっち

アニメの感想、持論などを好き勝手に書いております

アニメ「みるタイツ」という美術品

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©よむ/TRUSS

 このアニメについて語る事が許されるのかどうか分からないが、とにかく出来る範囲でやってみる。

 

 まず特徴を三つ挙げる。

 

・タイツ

・タイツタイツタイツ

・愛

 

 本当はタイツの文字だけでページを丸々埋め尽くしたいのだが(コピペではなく手打ちで)止めておく。嫌がらせのようになるだろうし、早めに本題に入った方がいいだろう。

 

 

 

話は後だ、タイツを見てくれ

 とにかくタイツである、タイツというものがどれほど美しいかというのを見せ付けてくれる。

 それはツヤであったり陰影であったり脚そのものの形であったり、その表現力は素晴らしい。ぶっちゃけタイツの立体感が素晴らしいせいでキャラクターの顔が平面に見えてしまうほどだ。

 心の中のタイツ、見たかったタイツ、理想のタイツ。イデア論の中にあるタイツ……。プラトン先生が見ていたのはきっとこれだと思う。

 

 しかも、ただ美しいというだけではない。

 

五感に訴えかけるタイツ

 水に塗れたタイツ、湿ったタイツ、湯気を立てるタイツ等、それらの表現も素晴らしく、まるで五感を使ってタイツを観賞している気になる。

 このタイツはどんな味がするのだろう、どんな匂いなのだろう、冷たいのか暖かいのか……?

 

 ただの映像だというのにここまで雄弁に何かを語る事が可能なのだろうか、しかもキャラクターではなく無機物が。

 今までにも何度か二次元を越える試みというのがされていたと思う。自分が知っている最たるものはこれだ。

 

www.nicovideo.jp

  京アニの『中二病でも恋がしたい 戀』のOP、この登場キャラクターたちがクルクルと台の上を回るシーン。

 一瞬立体のように見えないだろうか、フィギュアを回しているように見えないだろうか。

 ニコ動のコメントで「美少女ターンテーブル」という単語が使われていてしっくり来た。

(だが、検索しても全く引っ掛からない)

 

 立体なんて3Dでいくらでも表現できるでしょ? という声があるかもしれない。だが、違う。絵でしか表現できないものがあるのだ。

 物の形や輪郭というのは正確に計量されたものが正しいのではない、時に誇張されたり変形した方が良い場合もあるのだ。それをリアリティーという言葉で表現してもいい。

 

 ──と、ここまで熱くなって書いてフとこの作品はCGが使われていたのではないかと検索してみた。が、分からなかった。なのでこのまま進める。

(この際CGだろうが何だろうが、これだけのものを作ってくれたんだから文句はない)

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©よむ/TRUSS

 崩れることで美しさが際立つタイツ

 眺めているだけでため息が出るほど美しいのだが、それがこの作品では濡れたり・脱いだり・伝線したりする。美しいものが少し形を歪めるのだ。

 ならそれによって美しさが損なわれるのか? というと全くそうではない。更に美しくなる。

 

 この感情は愛しさなのだろうか? 美男であれ美女であれ、少し欠点や隙があった方が良いとされる。これもそれに似た感情なのだろうか?

 それとも、水も滴るいい男、という言葉がある。実際に水が滴っている訳ではないが、それほど艶っぽいという意味らしい。

 つまりタイツが濡れた状態は艶っぽさを更に際立たせてみせるのに役立っている、という事だろうか。伝線する事でタイツの網目が更に際立ち美しく見える、と言う事だろうか。脱ぐ事でタイツの……えっと、まぁいい。

 

タイツと向き合う姿勢

 美しいとバカみたいに連呼している。本当にそう感じてしまうのだが、エロスが無いかというとそんな事は全くない。エロいよ!

 それでもエロスのみではない美しさを感じさせてくれるのはなぜだろう……?

 

 恐らく視線に全く照れがないのだ、アングルや作り手の意志と言ってもいいのかもしれない。

 

 たまにあるのだが、バトルシーンや日常の何気ないシーンに無理やり女体をエロく描いたカットが映り、ウッと感じる事がある。

 そのキャラクターが真剣に戦っているにも関わらず、男という動物は常に女をそんな目で見てますよ! と感じてしまう(その通りなのだが)何とも心苦しいカットだ。

 

 そういう覗き見感覚がこの作品にはない。それこそ堂々と、真正面からタイツと向き合っている。それがいやらしさを感じさせない理由の一つではないだろうか。

 その姿勢も素晴らしいと思う。

 

 知り合いに対してこの作品をアートだと言った事がある。

 だがアートというと御幣があるかもしれない、なので美術品と言う事にする。

 観る美術品、美しいものが時に形を歪めながら連続的に存在する。なんとも贅沢な作品ではないか。

 

 

 

 思った以上に文章が長くなった、それでも製作陣の労力と愛情には足元にも及ばないだろう。

 それでもこの文章を読んだ方が一人でもこの作品を知ってくれる事を願う。その愛に触れてくれる事を願う。

 

 最後にひと言。

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©よむ/TRUSS

 

 

 思春期に出会わなくて良かった。