アニメをっち

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「魔法少女まどか☆マギカ」が遺した5つの事

 まず、この記事は『魔法少女まどか☆マギカ』(以下、まどマギ)の考察記事ではありません。続編である『反逆の物語』についても触れません。

 では何の記事なのか? というと、主に『まどマギ』の特徴とその後の作品に与えた影響。そして続編が作られる理由についての個人的見解になります。

 

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(C) Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

 

 

5つのこと

1.ア ンチ日常系

 非常に可愛い絵柄です。キャラデザを『ひだまりスケッチ』等の作者である蒼樹うめうめてんてー)がする事で当時話題になりました。

 魔法少女というジャンルも昔は日曜の朝に放送されるアニメがメインで、今のようにカオスな扱いをされるジャンルでは到底なかったです。

 つまり日常系の殻を被ったものとして始まったのがこの『まどマギ』だったと記憶しています。

 

 この影響が後に新日常系(『がっこうぐらし!』等)というジャンルを作る事になります。

 

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(C) Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

 

2.残酷なファンタジー

 「奇跡も、魔法も、あるんだよ」の台詞の通り起こり得ない事が起こる、それが許された世界のように描かれていながら実際は違いました。

 不条理のシステム化、世界が不条理に出来ているというのを一つのシステムとして書き出してしまった。

 

 といってもダークファンタジーというジャンルは存在するし、今更では? という気もするんですが、それをこの可愛い絵柄でやってしまったのが一つの功績であり罪でもある訳です。

 

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(C) Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

 

3.少女というメンタリティー

 この作品の主な視聴者は男性層だったと思います、ターゲットも恐らくそこを向けて作られたんじゃないかと思いますが(推測です)、それがバッチリはまってしまった。

 視聴者のメンタリティーが少女とマッチしてしまった、もしくはそうなってしまっているんです。男の主人公が努力したり何かを成し遂げる姿よりも少女が苦しむ姿を見た方が心が動いてしまう。

 この事の善悪を問うつもりはありません、少なくとも男の子や自分を含む大きなお友達のメンタリティーは少女に共感するようになってしまっている。

 これが日常系の洗礼なのか父性のなくなった社会のせいなのかは分かりません。原因を何に求めるかは自由ですが、とりあえず事実は認めるべきでしょう。

 それを明確にしてしまった。

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(C) Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

 

 

4.可愛い犠牲

 3の続きです。

 そういった可愛い存在が不条理な世界でひどい目に会う。その事によって視聴者の心の中で何が起こるか? 救済です。日常の中で自分の為に泣けない人たちが彼女らの犠牲によって泣く事が出来る。

 もしくは日常の中にある曖昧な不安感がハッキリした形になって突きつけられる。形を持つ事で曖昧さが消え、自らの不安感が払拭される。これはホラー映画を観る時の心理と同じだと思います。

 

 『まどマギ』リスペクト作品は主に2の「残酷なファンタジー」とこの項の「可愛い犠牲」を意図して描かれています。そのまま魔法少女が血まみれになる、といった作品も存在するようですが。

 

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(C) Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

5. 変革のストーリー

 重要なのはここだと思います。不条理な世界があってその中で苦しむ仲間が居る。そして託された力がある。

 主人公はその力を何に使ったか? 枠組を変える事です。世界の枠組を変えて救いのある世界を作った。これがこの作品のメインテーマだと個人的には思っているんですが、『まどマギ』リスペクト作品にはそれがない。もしくは連載等の都合でそこまで描けない。

 結果として可愛い犠牲を量産して、視聴者の代わりに傷付き苦しむスケープゴートを日常のように生み出す結果となってしまった。

 

 これでは孤独を選んだまどかが救われない!

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(C) Magica Quartet/Aniplex・Madoka Partners・MBS

 

 

補足、『宇宙よりも遠い場所』との違い

 最後に、『まどマギ』以降の傑作として『宇宙よりも遠い場所』を挙げます。

(残念ながら『まどマギ』ほど後世に名を残すとは思われない作品ですが)

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©YORIMOI PARTNERS

 『宇宙よりも遠い場所』をざっくり説明すると、女子高生たちが困難を乗り越えて南極へ行く、という作品です。 

 この作品もアンチ日常系だと個人的には解釈していて、登場人物たちはそれぞれ自分を変えたいという動機を持って南極へ向かいます。

 つまり、変化の物語です。

 

 続編を希望する声もあるようですが、残念ながら作ってはいけない作品だと思っています。なぜなら何度も旅をするだけの「旅部」のような作品になってはいけないからです。

(まぁお偉いさんの指示や巨大なお金の動くような事があれば続編が作られる可能性がない訳ではないですが、それでも登場人物は変えてやって貰いたいというのが個人的な希望です)

 

 それと比べてこの『まどマギ』はどうか?

 変革のストーリーでありながら、現実的にはそれが達成されていない。変わらない日常の中に我々は生きている。

 その変革が指すのはこの社会の枠組みを変える事なのか政治的な改革、もしくはテクノロジーによる人体や意識の変革なのか。それは分かりませんが、明確な変化が見られない限り変革を続けなければいけない。それがこの『まどマギ』という作品の使命なのかもしれません。

 それともその変革すら日常に呑まれてしまうんでしょうか?

 

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©Magica Quartet/Aniplex・Magia Record Anime Partners

 ちなみに『まどマギ』の続編ですが、てっきり劇場版でまたやると思っていたら違いましたね。

 どうやら地上波で来年の一月から放送予定のようです、サイトのアドレスを貼っておきます。

anime.magireco.com

  記事を書くタイミング間違えたか……?

 

 最後に、画像を選ぶにあたって3話のトラウマシーンは意図的に排除しました。

 マミさんは決してマミってない、いいね?