アニメ「慎重勇者 ~この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる~」10話についてもっと慎重に語る
前の記事の続きと深堀で、扱うのは四つになります。
でもまぁ、最後の「10話は親の介護回である」さえ読んで貰えれば個人的には満足なので、そこまで飛んで貰っても結構です。
勇者、遊ぶってよ
10話の前半では頑なに遊ぶ(酒・賭博)のを拒否していた勇者ですが、爺戦の後に態度を一変しています。浮かれる女神をよそに勇者はこの表情。
(と言っても元からあんまり表情変わらないんですが)
覚悟を決めたという感じなんでしょうか。死神戦・爺戦と勇者の戦闘はどんどん厳しくなっています。もうこれ以上は慎重になっても取れる手はないという事でしょうか。
古典的悲劇の回避
今までいくつか引っ掛かった部分を深堀してました。荷物持ち(女)の生贄回と卑怯な勇者ですね。今回の爺回で分かったんですが、どうやら卑怯な勇者は別に考えた方が良さそうです。それ以外の二つを考えると分かりやすい。
爺の幼児化という謎の呪いですが、こういう強いキャラは不治の病とか戦う事で寿命を縮めてしまうような呪いに掛かっているのが一つのパターンだと思ういます(具体例がパッと浮かびません)。でもこの作品はそれをしなかった。
なぜか? というと見出しの通りなんですが、古典的悲劇を避ける為ではないか、と。
作者さんは自分の中にある一つのパターンを裏切る形で作品を作られているんだと思います。悲劇をいかにしてコメディーにするか、という。
それは別に古い価値観と新しい価値観の対立、という訳ではないようですね。それよりもっと悲劇的なものを相手にされているようです。
と、個人的にはこのように解釈しましたが、合っているかは分かりません。
姫騎士と戦帝の関係
今まで気にしてなかったんですが、妙な関係ですよね。
祖父と孫に見えますが、「父上」と言っているように父親なんですよね。
この辺りに何か言及されていたかは記憶にないんですが、恐らく男の子が産まれなかった。そしてかなり歳を取ってからようやく産まれたのがこの娘だったと思われます。
だから父親は娘が可愛くて仕方がないし、娘も中々のファザコンに育っている。女性ながらに王位を継ぐ事になったのもそういういきさつでしょう。
さり気なく上手い設定だなーとは思うんですが、原作だとどのぐらい明言されてるんでしょうね。
10話は親の介護回である
幼児化という謎の呪いですが、これって考えたら良くある現象ですよね。個人差はありますが、老人はどんどん子供に戻って行くという説があります。
今回は姫騎士と戦帝の関係にもスポットが当たっていました。なのでその関係を中心に親の介護の様子を見ていきましょう。
まずは幼児化した戦帝の元へ駆けつけた姫騎士。「何を観ている!」と兵士たちにきつく当たります。親を見世物のようにされて喜ぶ子供は居ません(例外あり)。
泣いている親をあやす娘。ちゃんとしてますね。
勇者に嫌味を言われていきどおる姫騎士。しかし戦帝の方はスヤスヤ眠ってます、こういうもんです。
眠っている戦帝をベッドに休ませてため息をつく姫騎士。寝ている時は静かでいいのに……。
美しい思い出。どんな姿になっても親は親です。
というか爺さんいくつだよ、と思ったらこの辺りで説明されてました。80を過ぎてるようです。という事は60の時の娘ですか、それは可愛くて仕方ないでしょう。
少し飛びます。
勇者に敗北した後、戦帝が泣き出します。
「お前の父親が泣いているぞ」
「知らぬ! もはやあれは父ではない」
親の醜態を前にその存在を否定する子供。
再び姫騎士が親を否定すると勇者の平手打ちが飛んで来ます。間違った事を言った後にビンタを食らうのは少女漫画マナーでしょう。
でもそこから連発されるのはお見事、笑ってしまった。
「死んだら、いくら唸ってももう聞こえん。生きている内に話しておけ」
これは中々重みのある言葉ですね。
「だいしゅき、ごめんね……」
精神的には幼児化している父親にそう言われ泣き出す姫騎士。このシーンは圧倒的ですね、もう見た目を幼児化しないのも完璧です。
「愛している」
と言って息を引き取る父親。
この回は観る人の立場によって色々と思うところが違うストーリーだったと思います。
幸か不幸か親の介護はまだ経験していないので観ながら泣くという事はなかったですが、それでもかなりグッと来るものがありました。
良くも悪くも親というのはかなりの年月を付き合う事になる相手なので、あれこれと思うところはあるでしょう。『星合の空』と平行して観ているので更に感慨深いものがあります。
あ、前の記事で書いた通り『慎重勇者』の11話はAbemaTVで既に配信されているようです。ですが他の作品が最終回を迎えているので、その記事を書くのは少し先になると思われます。