創作アイデアの盗み方 「約束のネバーランド」の盗み方
前に書いた記事、「創作アイデアの盗み方 基本」を元にして、今回は具体的に『約束のネバーランド』からアイデアを盗んでみたいと思います。
『約束のネバーランド』について書いた記事はこちら。
特長から盗む
特長として挙げたのは次の三点です。
- 日常の崩壊
- 読み合い・探り合い
- それぞれの思惑
これらの特長からどんなアイデアが出せるか考えてみましょう。
日常の崩壊
崩壊前
主人公たちはある閉鎖空間で生活しています、もしくは限定された組織や枠組の中で。
その中でも日常生活は営まれており、主人公たちはある程度の満足感を持って生きています。この段階でその空間や組織内での決まり事を描写しておく必要があります、そして外部との連絡が取れない等、隔離された空間である事も示しておくと良いでしょう。
定期的に試験やイベントがあり、その結果によって仲間の一人(もしくは数人)がその空間や組織から抜ける事になります。試験結果と組織から抜ける因果関係は知らされていてもいなくても構いません、効果的な方を選ぶといいでしょう。
その行事は属している空間や組織によって名称が変わります。例えば卒業・転校・退学、もしくは退職・出張・転勤・転職、他にも脱退や退団、退院、出所等があります。
ザッと流れを説明すると、
- 主人公たちの日常
- 組織や空間内での決まりごと(視聴者が多少の引っ掛かりを感じるもの)
- 外部との連絡はない・出て行った人間は音信普通、もしくは虚偽の情報が届く(不安要素)
- いつもとは違うハプニング
- 真相を知る
組織・空間の種類
それら組織や空間にはどんなものがあるか、思い付く範囲で挙げてみます。
学校・進学クラス等の特殊教室・部活動・生徒会・委員会・会社・部署・出世コース・市役所等の公的機関・病院・刑務所・アイドルグループ・道場・社会人サークル・NPO・テレビ局・マンションやアパートetc。
キャッチーなネタでは 何とか48から卒業するとか、 ブラック企業からの引き抜きや解雇なんてのも面白そう。他にもニートばかりの謎のサークルや記憶喪失者ばかりが居る病院、老人ホームの介護士で老人がどうなるかを見守る何てのもあります。
出来れば自分がその日常を知っている空間の方がいいですが、何かを参考にして書けるならそれで問題ないです。
その背後にあるのは何か?
これが重要になります。とにかく誰かが残酷な目に会えばいい! という訳ではなく、そこに必要性があるものでないといけない。
新日常系と言われるジャンルでは、主に崩壊した社会や何らかのシステムが背後にあるようです。その中にあるのは生き残りと生贄といった要素でしょう。
その組織内から出てはいけない、でもいずれ生存不可能になる。だから自分たちの手で脱出する方法を考えねばならない、という絶望的状況。
でも必ず絶望的でなければいけないという事はありません、好きな設定で考えて貰って結構です。その理由は後述。
世界設定をくつがえすというギミック
この手法が持っているのは、視聴者が普段慣れ親しんでいるもの(ジャンルや設定)を引っくり返すというものです。新日常系というものが日常系から派生したというのはそういう理由があるんでしょう。
ですが、別に新日常系にこだわる必要はありません。これはどんなジャンルであっても適用可能な手法だと思われます。なので良く書いているジャンルがあるならこの手法を付け足す事も可能だと思います。当然ながら設定に必要性がないといけませんが。
ちなみにこの手法ですが、最後にオチがあるという点では短編のホラーやギャグで昔からあるパターンだったりします(ポーの『落とし穴と振り子』等)。
読み合い・探り合い
『約束のネバーランド』では主に演技、情報収集、情報整理、新キャラ、作戦、仲間に引き入れる相談、本気の鬼ごっこ等の様々な見せ場が用意されていました。緊張感を作るのが非常に上手いです。
なのでこれらを真似るのもありですが、当然設定は変える必要があります。
しかしこの項目では、前項で考えたギミックの続きを考えていきたいと思います。作品の構想を練るならそちらの方がいいと思うので。
世界観をくつがえした後
実は先ほどのギミックよりこちらの方がメインコンテンツになります。最初のギミックは驚かすのが目的で、本当の見せ場はここからです。なので自分の得意なジャンルでやった方がいいのは間違いないでしょう。
基本的にはサスペンスになると思います。何かの組織や空間で妙な事が行われているとしたら、なぜそんな事になったのか? それを知りつつ黙っている人間が居るとしたらその理由は? 外はどうなっているか、脱出方法はあるのか? 等の疑問が生まれます。そしてそれらに対する回答を主人公たちは模索して行く事になります。
それでも必ずサスペンスでなければいけないかというとそうでもなくて、例えば真逆のバトル物で考えてみると。
道場があってそこで定期的に大会が開かれている。その大会で最下位になった人間は破門されるんだけれど、破門される度に戻って来る奴が居る。弱いのにやたらとガタイは良くて人もいい。実はこの道場では歳弱の人間が化け物の生贄に差し出されているのだが、こいつがずっと生贄になって化け物を撃退していた。
何ていう設定も可能な訳です。もちろんそこからその敵の情報を集めたりその状態から脱する方法を探る事になりますが、その方法もバトルでやるという手もあります。「俺を倒せば教えてやる!」的な。
考えてみるとこの手法、映画『マトリックス』でも使われていたものですね(未視聴の方はググるなりして調べて下さい)。生活していた場所が実は虚飾だったという展開です。
なので「現実」がどのような状況にあるかによって割りと柔軟な設定が可能なギミックだと思われます。
それぞれの思惑
立場によって考えている事は違う。これは親子だと特に分かりやすいと思います、親は子供に勉強しろと言うが子供はそれを嫌がる。これは親の都合と子供の都合が違うからです。親は子供が勉強できた方がいいと思っている、子供は楽しくない勉強がしたくない。
そんな違いがよりハッキリ出るのはどんな状況か? 未来に対する展望が違う時です。その人の立場でより上に行くにはどうしたらいいか? その人が安全な立場に居るにはどうしたらいいか? もしくは裏切りや何かの計画を持っているとしたらどんな行動を取るか……?
誰にとって何をすれば利益になるか、そしてその人物はその為にどんな手段を取っているか。システムに従っているようで、実は大きな裏切りの計画を企んでいる可能性もあります。
これは今まで作り上げた世界設定によって変わって来るので一概に言えませんが、ステレオタイプを避けるのは一つのポイントだと思います。
もちろん『約束のネバーランド』の中に登場する、ママやシスター、裏切り者といった関係性を他の設定に持ち出す方法もあります。
他の方法
「創作アイデアの盗み方 基本」では他に二つの方法を書きました。
パッケージを変える
ダークファンタジーである『約束のネバーランド』をSFにして、あのモンスターを未来人にするという方法でも行けると思います。人は植物や動物を食べるより、人を食べた方が消化・吸収が早いという説があったと記憶しています(残念ながらタイトルは忘れました)。脳を食べると病気になるらしいのでダメですが。
他には現代劇で食人族に飼われているというのでも行けるでしょう。しかしこれだとどうしてもパクリの域を出ないので、場所を変える以外にももう一工夫した方がいいと思われます。
別の方法では「とある」作品のようにほとんどの人間が超能力を使える世界にする。人狼のように仲間の中に紛れ込んだ異分子がいる。異世界で活躍する名うての勇者たちが、実は飼われているだけだった等。何度も言いますが、書けるものや好きなものを出すのが一番です。付け焼刃の勉強ではどうしても荒が出てしまうので。
好きな部分だけ盗む
これに関しては言える事はありません、好きなように盗めばいいと思います。その方法については「基本」の記事を参照。
最後に
どうでしょうか、何かしら創作の役に立てれば幸いですが。もしそれでもアイデアに詰まっているというならコメントで相談して貰っても構いません。時間があればある程度対応できると思います。
ちなみにですが、ここに書いたアイデアは好きに使って貰って構いません。あくまで大きな設定の話なので、それをそのまま使われたとしても、パクられた! なんて言うつもりは一切ありません。
まぁ書き上げたものを自己申告して貰えるなら嬉しいですが(時間がなければ目を通せませんが)、強制ではありません。
今のところはこんな感じでアイデアの盗み方を書いていくつもりです。個人的に浮かんだアイデアのみを書くという方法もあるんでしょうが、それをすると記事を書くペースが遅くなると思うので、今は無理でしょうか。
ともかく、健闘を祈ります。こちらはしばらくブログを中心にするつもりなので、しばらく創作を休む予定です。