アニメをっち

アニメの感想、持論などを好き勝手に書いております

アニメ「魔法使いの嫁」について「星待つ人」を観たから語る

  タイトル通り。

 でも『魔法使いの嫁 星待つ人』についてではなく、作品全体について語る予定です。

 というか制作年は『星待つ人』がアニメの本編より前。でもストーリー的には前という訳ではないという……うーん、ややこしい。

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©魔法使いの嫁製作委員会

 

 特長を三点

 まずは特長を三点挙げてみます。

 

  • 絶望した少女、喪失した少女
  • 魔法という驚き、未知の世界
  • 成長と変化

 

 これらを一つずつ解説してみたいと思います。

 

絶望した少女、喪失した少女

 このアニメを観て最初に浮かんだのは、吉本ばななの『キッチン』でした。祖母の死によって喪失感に囚われた少女の話だったと記憶していますが、かなり前に読んだので記憶が曖昧です。

 他にも『千と千尋の神隠し』もこの作品に近い構造だと思います。

 

 感情や人間性を失った少女がそれを取り戻して行く物語、そんな説明で大体合ってるでしょう。

 

 なぜ少女でなければいけないか? という疑問もあるかもしれません。恐らく男の子版も存在するとは思うんですが、より生命力の強い女性が選ばれていると個人的には解釈しています。

 なぜ主人公を少女にするかについて宮崎駿が言ってたと思うんですが(曖昧です)男は倒錯しているから、より生きる事に実直な女の子の方がいい、と確かそんな内容だったと思います。

 

魔法という驚き、未知の世界

 少女がどうやって自分を取り戻して行くか? その方法がこの作品では魔法やファンタジーという形で描かれています。

 知らない出来事、不思議な存在との 出会いや別れ、悲しみや恐怖、喜びや親密感によって少女は少しずつ閉ざした心を開いていきます。

 少女が愛されなかった理由もファンタジーで説明されているもの面白いです。この辺りは『夏目友人帳』との相似点と見る方も居るようですね。

 

成長と変化

 しかし『夏目友人帳』との大きな違いはここでしょう。中心としているテーマです、この作品で一番重点が置かれているのは少女の成長と変化だと思います。

 それは今まで感じた事がなかった感情が芽生えたり、本人も動揺するような行動として現れたりする、そんな風に描かれています。

 

 こういう作品は作者によって描ける事が大きく違ってきます。それは作者の体験や人間的な成長によって左右されるからです。実際に喪失感に囚われたままの人は妄想するだけでその先の変化は余り書けないでしょう。

 なので、それなりにハードルの高いジャンルと考えていいのかもしれません。ちゃんと描けるかどうかはその人の人生経験によって変わるといっていいでしょう。

 

 

 ちなみにこの「成長と変化」ですが、生き直しと考えてもいいかもしれないです。生きる環境を大きく変えて人生をやり直すというもの。

 「なろう」系に通じるものがあるのかもしれませんが、あちらでは成長は描かれません(これも良し悪しがあります)。

 

互いに欠けた存在

 徐々にですが、主人公を買った人外のキャラクターにも少し欠けた部分がある事が分かって来ます。その辺りもストーリーが進むと徐々に明かされていきます(が、アニメ版では全てが描かれる訳ではありません)。

 この辺が王子様に拾われたヒロイン、といったシンデレラストーリーとは違った点だと思います。

 

余談

 どうでもいいですが、久々に観てメインキャラである人外の声に聞き覚えがあったので調べてみました。すると『id:INVADED』のアナアキの声優さんと同じ事が分かってちょっと笑ってしまいました。

 

 声優ネタというのは余り踏み込むと作品を楽しめなくなると個人的には思っています。映画でも役者目当てで観る人は居るでしょうが、でもそれは歌手を応援して歌を聴かない行為と同じような気がして個人的には余り好みません(好みの問題です、声優ファンの知り合いは居ます)。

 

 でも今回は中の人が同じ事で少し親近感のようなものが沸いたので、これはこれで面白い経験だと思い記事に残しておきます。 

 ほんとに余談でした。