アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」 11話段階での推理
11話の段階で今まであったいくつもの謎がかなり解明されてしまいました。非常に残念ですが、それにもめげずに残された謎を推理という名の妄想で埋めて行きましょう。
当たらないけど。
「俺の推理を話すよ」
局長の動機
怪しい怪しいと言われながらも存在感が薄く、動機らしい動機もその為のヒントすらない局長ですが、それでも彼がジョン・ウォーカーであるのは間違いありません。なのであれこれ邪推してみたいと思います。
いや、ヒントはありました。それはジョン・ウォーカーの犯行です。「被害者が必ず死ぬとは限らない殺人鬼を作る」のがジョン・ウォーカーの手口でした。
なのでそれを糸口に考えてみたいと思います。が、その前に別の切り口で推理してみたいと思います。
歴代アニメで考える
人の動機というのはそれほど多くないと思います。特にそれがフィクションとして一定数の理解を得るにはある程度の傾向があるはずです。
なので今回は歴代の名だたるアニメを参考に局長の動機に迫ってみたいと思います。
『機動戦士ガンダム』的に考える
『ガンダム』は一定の層にとっては必須科目で、今でも富野信者という過激派を生み出しているコンテンツです。現在も、元の作者である富野由悠季は作品に関わっていませんが、『ガンダム』シリーズは継続して放送されています。
個人的にはそこまで履修していないので多くは語れませんが、今回はこの『ガンダム』に登場するニュータイプという存在に注視して考えてみたいと思います。
ニュータイプとは (ニュータイプとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
妙に勘のいい人のこと
もっと超能力者的なものを想像してたんですが、最近は定義が違うようですね。
記憶している範囲のニュータイプは一種の超能力者で、話さなくても相手の考えが分かる。それ故に惹かれ合い反発する、というもの。
何やら飛鳥井木記の能力に近いものがあります。
局長も飛鳥井木記と同様にこの能力を持ち合わせているとして、彼が望むものは何なのか?
人を新しい段階へと進ませる。自分と同じくニュータイプのような能力者を更に作り出し、それによって世界をニュータイプ(自分と同じ能力を持った)のものとする。
この場合、動機となるのは孤独です。特殊な能力を持った故に理解されない存在である局長が、自分と同じ能力を持つ存在を作り出して世界を変革させるというもの。
果たしてこれが『ガンダム』的なのかは個人的にも疑問はありますが、他に浮かばなかったんだもん! と逃げておきます。富野信者の方にはごめんなさい。
追記、ジオン軍の存在をイドに住む人間ととらえて、現実人vsイド人という構図にしてみても面白い。
という事は局長はイドで生まれた特殊な存在という事になる。まぁ設定上は割りと面白い。
『新世紀エヴァンゲリオン』的に考える
『エヴァ』は今でも新作(焼き直し?)を待つファンが多い作品です。その特殊な世界観と登場人物の掘り下げ方、そしてそれまでのロボットアニメの常識を覆した作品でもあります(『ガンダム』もそうだけど)。
「人類補完計画」、『エヴァ』といえばこれでしょう。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
ザックリ言うと、人類を全員ドロドロの液体にして一つの生命体にしたら争い事とか全部なくなっちゃうよね? というもの。
これを元に考えてみたいと思います。
飛鳥井木記の夢には何人もの連続殺人鬼が入って来ました、そしてミヅハノメも同様です。
これまでは連続殺人鬼しか入れなかった飛鳥井木記の夢、およびイドですが、これに誰でも入れるようになったら……?
無意識をつなぎ、一つの巨大な世界を作る。そこでは人は隠し事をせずに欲望や衝動のまま行動する。しかもその世界では死は存在せず、何度でも生き返っては殺し合いを続ける。
と、「人類補完計画」と真逆のようなものになりました。
ついでにこの世界の無意識が現実でも現れると、本当にカオスで世紀末どころじゃない世界が出来上がりそうです。
というか、最初に考えていたのは無意識をつないで人の記憶を実体化させ、ちょうどイドの中のイドのように死んだ人も死んでいない事に出来るハッピーな世界にする予定でした。
でも書いてる内に変わってしまった。だったらまぁ、両方書いとけばいいや。
『魔法少女まどか☆マギカ』的に考えると
10年代を代表するアニメ、その影響は今も色濃く存在していると思います。この作品については何度か触れているのでここでは余り語りません。
『まどマギ』の中の一つの目的は、キュゥべえことインキュベーターたちが魔法少女を使って行っていた使命、エントロピーです。
簡単に言うと、熱は冷める、それが宇宙規模で起こっている。というもの(詳しく知りたい方は各自で調べてみて下さい)。
これを元に考えてみます。
人を全て連続殺人鬼にしてその殺人衝動というエネルギーで世界を救う。
はい、シンプルな回答が出ました。ただし問題は、そのエネルギーを誰がどう回収して宇宙全体が冷えていくのを阻止するのか? というところですが……。
えー、局長が宇宙人だった、でいいんじゃないかな?
『STEINS;GATE』的に考える
ゲームを元にしたアニメで、時代的には『まどマギ』と同時期ではありますが、パラレルワールド(平行世界)の概念を広く浸透させた作品でもあります。
『まどマギ』の中にもループの描写はありましたが、ループ自体を主体にした作品はこちらだと考えています。
それでは今言った通り、パラレルワールドの説明に入ります。
ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す。
フィクションの世界でもそうですが、物理学や量子力学の世界でもその存在が議論されています。パラレルワールドが存在しなければ説明できない現象が物理の世界でいくつも発見されているようですね。
では、これを元に考えてみたいと思います。
イドの中のイド、9話と10話で登場した世界ですが、あれは個人的には飛鳥井木記のイド(無意識)だと解釈しています。
もう一つの世界、何人もの無意識が入り込んだ現実のような世界。これを一つのパラレルワールドと解釈しても問題はないでしょう。
問題はこのパラレルワールドを使って何をするか、です。『シュタゲ』のように恋人や家族の死を別の世界で塗り替えるのか、それともそれらの世界を実験的に眺めるだけなのか。
とりあえずこの項目では『シュタゲ』的に失った家族という過去を塗り替えるものだとしておきます。
歴代アニメで考えるのは以上です。多少、無理やり感はあったかもしれませんが、考えた方は結構頭の中がパンパンです。
もし突っ込みどころがあったら、その突っ込みを元にご自分の案を考え出してみて下さい。
他の案で考える
アニメ以外の元ネタで考えてみます。というかもう脳が休眠状態に入りかけているのでパッパと行きます。
不老不死案
よくある奴です。昔の王様や権力者が必ず一度は考えた事ですね。
「ドグマに呑まれる」事の説明で語られていたと思いますが、肉体の維持が出来なくなっても意識は永遠にイドの中をさ迷うというもの。この現象をイド嵐を使わずに行う事は出来ないのか?
これには問題があります、飛鳥井木記が死ねばミヅハノメも運用できなくなる。結果として不老不死は達成できないでしょう。
ならどうするか? やはり飛鳥井木記のような存在を何人も作り出すしかない。そして意識だけでその人たちの無意識を渡り歩く。もしくは集団的無意識にアクセスして、その中でずっと生きる。
具体性には欠けますが、一つのアイデアとしてはありかもしれません。ベタですが。
新世界の支配者
どこぞで聞いたフレーズではありますが、○○ノートは使用しません。
イドの中のイドのような沢山の無意識を集めた世界を自由に行き来し、自分が王のように振舞う。連続殺人鬼を自由に生み出せるジョン・ウォーカーなら、○○ノートより簡単に世界を牛耳る事が出来るかもしれません。
神の創造
元ネタはタイトルを忘れてしまって申し訳ないんですが、海外の小説です。聖遺物からキリストの細胞を採取して、その遺伝子の子供を産もうというもの。
これを『イド』的に考えるとどうなるでしょう。
キリストは復活する事で神である証明をした。人を半死半生にするにはそういう意味があったのかもしれません。つまり、キリストの復活を再現している訳です。
殺して復活する事でキリストのような存在を作り出す。それが実験的な意味を持つのか、それとも信仰心なのかは分かりません。
脚本の舞城王太郎の小説にはいくつか聖書の引用が見られます。可能性はゼロではないですが、余り日本的な着想ではないかもしれません。
天国の存在
こちらもタイトルは忘れたんですが、海外の映画です。しかもホラーというか拷問映画。
主人公をとことん拷問して死の間際の状態にまで陥れる。そしてその人物が何を見るか? 死に掛けの状態で証言させて天国の存在を確かめる。そんな映画だったと思います。
なので、老い先短い局長があの世の存在を確認する為に半死半生の存在を作り出し、彼らを見守る事で自らの慰みにしていた。
そんな可能性もあります。可能性だけならあります。
終わりに
ここまであれこれと書いておいて今更ですが、局長の動機が明かされない可能性もあります。その理由は舞城王太郎という作家が余りそれをしない方だからです。
いくつかの作品で悪の存在を書きながら、その動機については触れずに終わっています。なので今回もその可能性がある。
ただ、もしそうなったとしても展開をギュウギュウに詰め込んで、息をつかせぬままに終わると思うので、それほど気にならないとは思いますが。
でもまぁ、その時にこそこういう考察サイトが役に立つ訳で、その時にはあれこれと書いてやろうと思います。
では、長々とお疲れさまでした。