アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」 5話の再考察
全話視聴済み、もう一度見直して新たな発見や分からない部分を(妄想込みで)考えて行きたいと思います。
5話は「FALLEN 落ちる世界」、墓掘りこと数田遥の回です。
穴くぐる風は
「あいつに聞いてみて下さいよ。穴くぐる風は涼しいかって」
OP後の穴空きの台詞です。結局この問いが墓掘りに届く事はありませんでしたね。
実際に涼しかったのかどうかは推測するぐらいしか出来ません。
落ちるイド
イドを見る限りはとても涼しそうです。
建物
ちなみにこの建物ですが、作中の台詞によると数田遥が高校の時に住んでいた実家の離れだそうです。現在は空き家とのこと。
この場所に井波は13歳の時と14歳の時に二回と、合計三回行っているようです。
恋に落ちるイド
個人的にはこの場所で数田遥は井波七星に恋に落ちたのではないかと考えています。
数田遥を動かしているのは恋愛感情でした。そしてバラバラのイドと同じく、数田遥に殺意はありません(本堂町を殺そうとしてキッスしたけど)。
だからイドの中のジョン・ウォーカーの存在を恐れた。恋に落ちた場所に殺人鬼が居ると恋人が殺される恐れがあったからです。
この辺りは2話の再考察で触れた通りです。
(「なぜイドの住人はジョン・ウォーカーを恐れるのか」の項目)
井波の解釈
このイドの中に井波七星と思われる人物が居ました。彼女は墓掘りの被害者六人の顔が混ざったものでした。これはどう解釈するべきなんでしょう?
最初は被害者を使ってジョン・ウォーカーから井波を隠しているんだと思っていました。カエルちゃんの死体で彼女を隠したように。
しかし数田遥が恋愛感情で動いている事を考えると、殺意を向けた相手に井波を重ねて見ていた可能性もあります。
これにも恐らく違った解釈があるでしょうね、個人的にはこの二つとなりました。
ジョン・ウォーカーの違い
今回のジョン・ウォーカーはバラバラのイドのようにハリボテではありませんでした。その理由について考えてみたいと思います。
連続殺人鬼の作り方
「そこには女の子が居て、その子の頭に穴を開けたらどうかって誘われたから、興味がないって言っただけだ」
11話の中盤、イドの中のイドで本堂町が穴空きとした会話の一部です。
この部分から読み取ると、ジョン・ウォーカーは殺意のある人間に飛鳥井木記を何度も殺させ、現実での殺人行為を誘発したのだと考えられます。
そしてここの穴空きの台詞の通り、この時に彼はその誘いを断っています。だからジョン・ウォーカーの影響を受けていない。
これがバラバラのイドでジョン・ウォーカーがハリボテであった理由だと思うんですが、残念ながら比較する為の情報がありません。
ジョン・ウォーカーが数田遥と夢の中でどう接触したかが分からないので、あくまで仮説になります。
その仮説をもう一歩進めたのが次の項目、ここまで来るとただの妄想ですが、それでも良いという方のみ読み進めて下さい。
墓掘りは飛鳥井木記を殺したのか?
バラバラのイドと落ちるイドで、カエルちゃんの死因は胸をナイフで貫かれるものでした。
この事からジョン・ウォーカーである早瀬浦局長は夢の中で飛鳥井木記を殺す時にこの方法を取っていたのではないかと考えています(あくまで個人の妄想です)。
では、それぞれのイドの中でカエルちゃんを殺したのは誰か? という疑問を立ててみます。
バラバラのイドではジョン・ウォーカーでしょう。穴空きなら頭にドリルで穴を開けるはず。では、この落ちるイドでは……?
「じゃあカエルちゃんを……、この女の子を殺した犯人はどこかな?」
「それも、分かりません。でも多分、そのお化けと戦いに行ってると思うんですけど……」
カエルちゃんを殺したのは数田遥なんでしょうか? もし数田遥が穴空きと同じようにジョン・ウォーカーの誘いを断っていたなら、この落ちるイドに居るジョン・ウォーカーもハリボテだったはずです。だとすると墓掘りこと数田遥はジョン・ウォーカーにそれ以上の影響を受けている可能性がある。
しかし殺人に対する恐怖があるのは穴空きと同じです。
これらの事から、数田遥は夢の中で飛鳥井木記をジョン・ウォーカーによって無理やり殺さされていたのではないかと推測します。それによってバラバラのイドより大きな影響力を持ったのではないか。
矛盾点
ただしこの理論は、カエルちゃんの死因=夢の中で飛鳥井木記を殺した方法、という前提がないと成り立たない。他のイドではどうだったでしょう?
ジョン・ウォーカー絡みのイドに限定してもカエルちゃんの死因は、円環のイドでは自殺。雷のイドでは落雷です。この事から、前項で書いた妄想はかなり眉唾な内容である、という結論になります。
カエルちゃんの死の謎は名探偵の存在理由でありヒント、というのが一番しっくり来るところです。
やはり夢の中で起きていた事まで考えるのは難しい……。それでもこの二人だけ例外の可能性もあるので、一応書いておきました。
どなたかの参考になれば幸いです。
墓掘りの犯行
これは4話の画像です。墓掘りの模倣犯である大野さんの犯行ですが、これが本物の墓掘りを模したものだというなら本物もこれと同じような手段をもちいたはずです。
掘った穴に樽を入れ、その中に拉致した被害者とカメラを入れて配信で流す(大野さんは埋めていませんでした)。タイトルや詳細まで同じかは分かりませんが。
非常に手が込んでいます。これらの事を愛情表現として行っていた数田遥に疑問は感じるんですが、作中で「脳に偏重をきたしている」と言われていました。
作中で一度も(イドの中以外で)言葉を発しなかったのもそれが理由のようですね。
墓掘りカップルの距離感
この二人の付かず離れずのネチョネチョするだけの関係だったのは本堂町によって指摘されて(煽られて)いますが、数田遥が井波の家に居たという事実もあります。
頭に穴を開けられた後、自宅に帰る事もなく、恐らくは井波の家を根城にしていたであろう数田遥。あ、昔の家に居た可能性もありますが。
言葉を一言も発さずに、しかし井波に贈り物のように殺人(生き埋め)動画をプレゼントするという……、この二人はどんな距離感でどんなコミュニケーションを取っていたんでしょう?
これについては全く想像が付きません。
一つ確かなのは、数田遥の恋に落ちた日、それと井波の母親が自殺した日。更に二人の再会からこれまでの関係だけで一つの話が十分に作れてしまうという事です。
これを勿体無いと思うか潔いと思うかは人によるでしょうが、かなり思い切った判断です。想像するだけでかなりドラマチックですよね。
これが明らかにならないのは勿体無い気もするんですが、仕方がないか……。
5話の役割
3・4話とジョン・ウォーカーに関係のない殺人鬼の話でした。それに一話完結という一つのパターンが出来ていたんですが、ここで裏切って来ます。
トリッキーな連続殺人鬼である墓掘り、そして本堂町が現場に復帰する事で捜査にも推理の観点が生まれました。
しかし謎に関しては一切の情報がなく、しかもジョン・ウォーカーに関連するものの通常の連続殺人鬼ではない穴空きと墓掘りという二人のイドを見せられて混乱するばかり。
この辺に関しては考察する人間として恨み言の一つも言いたいところです。まぁ別に考察しろと言われた訳じゃないですが。
今更ですが、犯人逮捕という緊張感とイドという特殊な空間によって生まれるスピード感とミステリーがほんとに楽しいですね。連続殺人鬼という重たいテーマなのに妙にサッパリしてるのも奇妙といえば奇妙ですが。
やっぱおもしれーなーこの作品。
とバカみたいな感想を述べて5話の再考察を終わります。
そういえば、作中では愛情表現と言われていましたが、あれってリビドーじゃないの? と男性視点では思ってしまいますが……。
蛇足でした、失礼しました。