アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」 7話の再考察
全話視聴済み。もう一度見返して分かった事や、それでも分からない部分に自分なりの回答を出して行きたいと思います。
7話は鳴瓢のイドと名探偵 聖井戸御代の登場回です。
鳴瓢はいつからジョン・ウォーカーの影響下にあったのか?
鳴瓢はジョン・ウォーカーによって作られた連続殺人鬼「追込み」でした。では、鳴瓢はいつからジョン・ウォーカーの影響を受けていたのでしょう?
画像は7話の序盤、対マンを射殺した際のものです。この時に鳴瓢はジョン・ウォーカーの影響下にあったのか?
答は恐らくNOです。理由は落雷のイドにジョン・ウォーカーの姿がなかったから。鳴瓢のイドからジョン・ウォーカーが見つかるのは砂漠のイドです、なのでこの時にはまだジョン・ウォーカーの影響は受けていなかったのでは、と考えられます。
もちろんたまたま見つからなかっただけ、という可能性もあります。
追込みの役割
連続殺人鬼「追込み」は警察内部に居て、ジョン・ウォーカーの作り出した連続殺人鬼が七人以上の被害者を出す前に逮捕、もしくは殺害するのが目的でした。
これは最終話で局長(裏井戸)の口から語られています。
なので局長は「追込み」の役割を持つ連続殺人鬼を作るつもりだった。そしてその候補として鳴瓢に目を付けていたのではないかと考えられます。
ジョン・ウォーカーの影響
4話の再考察でしっかり触れていなかったのでここに書きます。
「ただ……、耐え切れない殺意が俺の中から湧いて来て、その時思ったんです。俺には殺せると、だから殺したんです」
ジョン・ウォーカーは夢の中で連続殺人鬼の候補に飛鳥井木記を何度も殺させる事で連続殺人鬼を作っていた。夢の中である行動を刷り込ませる事で現実にも同じ行動をさせる、という手口です。
この鳴瓢の台詞の「殺せるから殺した」という部分はジョン・ウォーカーの影響を受けた事を告白しているようにも受け取れます。
ただしこれは自殺に追いやる時の話なので、対マン殺害とは関係ないと考えていいでしょう。
鳴瓢は夢の中で飛鳥井木記を殺したか?
上述のようにジョン・ウォーカーの手口は夢の中で候補者に飛鳥井木記を殺させる事でした。ならジョン・ウォーカーの作った連続殺人鬼である「追込み」も飛鳥井木記を夢の中で殺していたのか?
これは恐らくNOです。まず鳴瓢は連続自殺教唆者です、自ら手を下す訳ではない。殺害方法が違うので飛鳥井木記を手に掛ける必要はないでしょう。
次に鳴瓢はイドの中でも無意識的にカエルちゃん=飛鳥井木記を救いたいと考えている。この感情が妻や娘に対する罪悪感なのは既に何度か触れました。なので夢の中で飛鳥井木記を殺害した可能性は低い。
ならジョン・ウォーカーはどんな手段を取ったのか? これについても推測するしかないですが、ジョン・ウォーカーは鳴瓢に夢の中でこれまでの連続殺人鬼を自殺に追い込める状況を作ったのではないか、と考えられます。そして鳴瓢にそれを実行させた。
夢の中で似た状況を作って現実でもそれを行わせる、これがジョン・ウォーカーの手口だと思うんですが、この部分はまだ引っ掛かりがあるのでまたいつか触れます。
隠しカメラを巡る考察
隠しカメラの必要性
「室長、富久田の家に隠されていたカメラとマイクですが、過去の事件で押収されていた物と一致しました」
「過去の事件……?」
「連続殺人鬼、対マンです。鳴瓢さんの娘を殺害した、あの勝山伝心の自宅に隠されていたカメラと、同一の物です」
6話のラスト、隠しカメラとマイクについて触れています。そしてそれが対マンの自宅にあった物と同じだと言っています。
ジョン・ウォーカーは夢の中で活動しています、基本的に本人と接触する必要はない。しかし対マンと穴空き、こと富久田の家には隠しカメラを設置している。
穴空きの家に設置したのは百貴さんをはめる為でしょう、7話の終盤で百貴さんが捕まる時に証拠の一つとして挙げられています。
では、勝山伝心の家に隠しカメラを設置した理由は?
二つの憶測
可能性は二つ考えられます(もっとあるかも)。
- 一つは局長が自分の作った連続殺人鬼全員の家に隠しカメラを設置していた
- もう一つは勝山伝心が特異な行動を取ったので監視せざるを得なかった
正解は分かりません。が、それによって隠しカメラはある事実を目撃してしまいました。
勝山伝心の行動は局長の想定内だったか?
勝山伝心は飛鳥井木記を拉致しています。飛鳥井木記本人によると、対マンは殴るだけではなく殴られたかったので夢の中では物足りなくなった、とのこと。
勝山伝心のこの行動は局長にとって想定内だったでしょうか?
局長の狙いはミヅハノメを巨大化し、捜査範囲を広げる事でした。七人の連続殺人鬼を作るこの計画が始まっている段階でこの目的は決まっていたと思っています。
そう考えると飛鳥井木記をここで殺されるのは、間違いなく想定外です。計画が全て破綻してしまう。
隠しカメラを設置したのが飛鳥井木記の拉致前・拉致後、どちらなのかは分かりませんが、少なくとも局長は勝山伝心の行動を監視する必要があったようです。
鳴瓢椋はなぜ狙われたか?
画像は対マンの被害者一覧。一応ですが、一番右は飛鳥井木記です(髪と目の色は違いますが)。彼女は生き残りました。
鳴瓢が始めて殺人を犯すキッカケとなった娘の殺害、鳴瓢椋はどうして対マンに狙われたのか……?
これについてもいくつか推測してみます。
推測材料と仮説
- ジョン・ウォーカーである局長は隠しカメラで勝山伝心を監視していた。
- イドの中のイドで、飛鳥井木記は鳴瓢椋より先に拉致されていた。
- 局長にとって飛鳥井木記は自分の計画の為に必要な存在である。
これらの事を考えると、まず頭に浮かぶのはジョン・ウォーカーが仕向けたというもの。
以前から目を付けていたであろう鳴瓢の娘を勝山伝心に殺害させて、飛鳥井木記を救出させようとこころみた可能性があります。
ただしこれには疑問点があって、どうやってそれをしたのか? というものです。どうすれば勝山伝心に鳴瓢椋を殺害するように仕向けられるのか。
ジョン・ウォーカーがそこまで万能だとは思えません。所詮は飛鳥井木記の夢の中で飛鳥井木記を弄んでいるだけの●×野郎です。夢の中に鳴瓢椋を呼び込んだり、同じ姿の存在を作り出したり出来るとは思えない。
次に、偶然そうなっただけ、というもの。
勝山伝心がどうやってターゲットを絞っていたのかは分かりません、画像のリストにあるように女性からプロレスラーまでズラリと並んでいます。
そして無数に居るであろう女の子の中から、たまたま鳴瓢椋が選ばれた可能性というのも、まぁ……ない事はないでしょう。
どちらも可能性としてはあり得ますが、片方は局長が特異な能力を持っている必要があり、もう片方は可能性が限りなく低い、という事になります。
別の可能性を探るべきなのでしょうか?
飛鳥井木記をいたぶるのは楽しかったか?
少々悪趣味な考察かもしれません、嫌な方は飛ばして下さい。
鳴瓢椋の殺害日についてはこちらの記事。
2019年11月2日の1084日前の日付:2016年11月13日(日曜日)
タイマンの被害者であるプロレスラー藤田武彦の遺体が発見されたのが10月29日。
この殺害日が合っているとして、飛鳥井木記が救出されたのは11月13日以降となります。しかしイドの中のイドで鳴瓢が対マンの家に押し掛けたのは10月29日でした。その時には既に飛鳥井木記は対マンに拉致されています。
この期間が妙に長いんですよね、その間ずっと対マンは飛鳥井木記を殺さずにいたぶって楽しんでいたと思うんですが、あんな非力な女の子をいたぶって何が楽しかったんでしょうか?
ここで飛鳥井木記の能力? を思い出して下さい。
彼女はサトラレのような能力を持っていました。自分の思念が周囲の人間に届いてしまうというものです。
だとすると対マンは飛鳥井木記を殴りながら、その痛みや恐怖を自分でも味わうという特殊な状態にあったのではないか、と想像できます。
かなり変態ちっくです。対マンの中の人(声優)的にもシックリ来ますね!
落雷のイド
本堂町の名探偵、聖井戸御代の初イド潜入となりました。
ちなみに聖井戸御代は作中で一度も死んでいません、しかし死に対する恐怖は他の探偵と違って持っているようなので、その辺りの反応も気になるところです。
二期か漫画版で描かれるでしょうか?
解釈
落雷はそのまま精神的ショックと考えて良いでしょう。自分自身は死んでいるのに妻と娘が生きているのは未練があるからでしょうか。
このイドに居るのは鳴瓢の親族や学生時代のクラスメートのようです。つまり自分を含め大事な人たちが刻々と死んで行くイド、と個人的にはそのように解釈しています。
イドの中のミヅハノメ
三年前のイドにコックピットがあったのは現在の鳴瓢と同期しているから。
ならなぜ砂漠のイドではなく落雷のイドのままなのか?
これに関してはもう、同期はしているけれど完全に一致はしない、と解釈するぐらいしかないでしょう。影響はあるが完全ではない、という辺りでしょうか。
他の方の考察で、イドの中のミヅハノメは飛鳥井木記が作り出したのではないか? という説がありました。あながち間違っていないとは思うんですが、決定的な根拠は最後まで発見できませんでした。
それでも、あながち間違っていないと思える根拠を次の項目で示します。
なぜイドの中のイドに入るのか?
聖井戸御代は落雷のイドを突っ切り、一直線にミヅハノメのコックピットの方向へ走って行きました。そしてためらいもせずにイドの中のイドへ潜っています。
ここで思い出したのが8話のラストシーン。
「名探偵だから分かる。俺たちは、何もかもについて全て正しくて。これは、ここでこうしてこうなるように揃っていたのだ」
酒井戸がイドの中のイドへ行くシーンです(この後に百貴さんが「全部罠だ!」と言いますが、その考察は次の記事で)。
恐らく聖井戸もこの時の酒井戸と同じ心境だったのではないでしょうか。イドの中のイドに入るのは名探偵として正しい、だから迷わずイドの中のイドへ潜った。
そして名探偵としての正しさとは何か? という問題になりますが、これもいくつか解釈が可能でしょう。
- ミヅハノメのシステムによって、カエルちゃんの謎を解くように設定されている。つまりシステム的に決められた何かである。
- 飛鳥井木記の意志に従う、飛鳥井木記の助けを求める思念に導かれる。
もし後者が正しいなら、イドの中のミヅハノメは飛鳥井木記が無意識の内に作り出したものだと考えられます。
しかしこれにも疑問はあります。なぜミヅハノメの存在を知っている人間のイドにしかコックピットが現れなかったのか? というものです。
この仮説については一度保留します。
頑張るおじいちゃん!(局長)
百貴邸で発見されたジョン・ウォーカーの衣装です。最後まで観ていれば分かりますが、こんなものは存在しません。本物が身につけているのは夢の中のイメージです。
という事はこの衣装はわざわざ作られた物という事になります。
井戸端に画像はあるので、それを元に作るのは可能でしょう。しかし細部まで再現するにはオーダーメイドになったのではないか?
局長が百貴さんの体に合うようにサイズを調べて、そこからこの衣装を発注する。何やら大変そうな楽しそうな、局長がやっていたとしたら複雑な気分になります。
この7話では他にもジョン・ウォーカーによる工作がいくつかあって、
- 隠しカメラ・マイクを勝山伝心と富久田保津の自宅にセットする。
- 百貴邸のパソコンに監視カメラへの通信記録を残す。
- 白駒二四男の遺体(白骨?)を百貴邸の庭に埋める。
と思い付く範囲でこれだけです。これらの事を共犯者なしでやるのは大変だっただろうな、と少しばかり同情しましたが……。
でも、もしかしたらですが局長の超能力者説もあるので、その説が当たっているなら自分の手を汚さずにこれだけの事が出来た可能性もあります。
その説に関してはまた後日。
7話の役割
主人公の過去へと物語が一歩踏み出しました、でもまだまだ情報は出ていません。その為の引き金が本堂町の危機(?)であったり、百貴さんの逮捕というエンディングの伏線を回収したような流れはもうジェットコースターのようでした。
あ、エンディングの伏線というのはエンディング時に百貴さんの画像が一つもないというものです(もしくは顔が影になっている)。気付いていれば逆にはまってしまうという面倒な伏線が張られていました。
にしても、どうやったらこんな脚本書けるんでしょうね。正直、既に分析できる範囲を超えています。
という辺りで7話の再考察は終了。時間を掛ければある程度まとまった考察が出来そうですが、考えてもキリがないところもあるのでほどほどに書き上げて行きたいと思います。