アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」 9話の再考察
全話視聴済み。改めて見返すことで分かった事や、それでも分からない事に自分なりの回答を出していきます。
9話はイドの中のイドに入った鳴瓢が対マンと対決、そして飛鳥井木記と出会う回です。
イドの中のイドとは?
でっち上げの世界
序盤に鳴瓢はこう言っています。
砂漠のイドにあったコックピット、それはイド主の記憶が作り出したであろうハリボテにしか思えない。そんな物が作り出した世界です、胡散臭く感じても仕方がないでしょう。
なのでこう考えても無理はないと思います。
しかし、でっち上げの世界にしては良く出来ている。鳴瓢が現実だと思って生きれるぐらい良く出来た世界だったのは間違いないでしょう。
自分以外の人間や事件の流れもそっくりそのまま、鳴瓢が改変した部分(主に家族の生存)を除けば前の世界と変わらない。
そんな世界が存在するなら、それは何なのか?
「井戸主 飛鳥井木記」
やはりこれだろうと思います。この名前は雷のイドで聖井戸が座ったコックピットと、砂漠のイドで酒井戸が座ったコックピットの両方に表示されていたものです。
飛鳥井木記のイド、それがどんなものであるか? 飛鳥井木記の能力をおさらいしてみます。
飛鳥井木記の能力とは
既に何度か触れているので十分理解されている方は飛ばして下さい。
分かっている範囲で挙げると、
- 飛鳥井木記の考えている事が周囲の人間に届いてしまう。
- 飛鳥井木記の夢に連続殺人鬼や殺意を持った人間が入って来る。
覚醒時には思念や記憶を送り(サトラレ)、眠っている間は招き入れてしまう。最初はこの二つが異質な能力に思えていたんですが、本質的には同じもののようです。
「私の夢には、私を殺す人が入って来ます。その人たちがこれからについての気持ちや計画を持ち込んで来るので、私の夢に影響が出ます」
これは10話の序盤の台詞。
飛鳥井木記は自分の夢に入ってきた殺人鬼の感情や思考を無意識の内に読み取って自分の夢に反映してしまう。
自分の考えや思いが伝わってしまうだけではなく、入ってきた人間の感情や思考を吸収してしまう。これは恐らく飛鳥井木記の自意識は境界線が薄いのだと思います、知らない間に溢れ出し・知らない間に吸収してしまうという性質を持っている。
では、なぜ飛鳥井木記の夢の中には連続殺人鬼や殺意を持った人間しか現れないのか? この疑問に対する個人的な回答が出来ました。それがより強いものだから、です。感情や思考の中で一番強いものが飛鳥井木記の中に入って来る。
でも実際は他の思念も無意識の内に受け入れていたのではないかと考えています。その中で分かりやすく強いものが夢の中に現れたのではないか。あくまで推測です。
飛鳥井木記のイド
飛鳥井木記も自殺を四度企てているので、彼女の思念粒子やイドも存在すると思います。しかし彼女は他者の気持ちや無意識を取り込んでしまう性質を持っていた。
そしてその性質は看護士集団昏睡事件を境に更に進展しているようです。
その結果、飛鳥井木記のイドの世界はどんどん他者の思念を吸収し、膨張していったのではないかと解釈しています。
変わらない母娘
一つ気付いたのはこの二人。画像は9話の序盤、鳴瓢がイドの中のイドで目覚めた後の二人です。
こちらはその二年後、鳴瓢が本堂町と出会って電話で二人に別れを告げるシーンです。
二年経っているのに変化がありません。服装もそうですが、髪型や身長も変わっていない。椋ちゃんは中学生辺りで精神的にも身体的にも変化が多い時期のはずなんですが。
(作中の写真は身長がバラバラなので、12話の雷のイドの画像を参照)
恐らくこれは二人が死んでいるから情報が更新されない、ある時点で止まってしまっているのが原因だと思います。無意識の世界であっても人を成長させる事は出来なかった、そう解釈しています。
合っているかは分かりません。
百貴さんはなぜ飛鳥井木記の事を黙っていたのか
これはイドの中のイドで百貴さんが飛鳥井木記を救出したシーン。
この事はイドの中のイドだけでなく、現実でも起こっていたようです。
「彼女は百貴刑事によって発見される」
最終話で飛鳥井木記が百貴さんを見て喜ぶシーンもありました。なので二人が初対面ではなかったのは間違いないでしょう。
ではなぜ百貴さんはこの事を黙っていたのか? 見た目でカエルちゃんと飛鳥井木記が同一人物であると分かっていたはずです。
これに対しても明確な答はありません。なのでまた個人的な解釈になります。
隠してはいなかった
結論から言ってしまうと、言う必要がなかったからです。
カエルちゃんがいくら飛鳥井木記に似ていようとそれを井戸端のメンバーに伝える必要があったでしょうか? 名前を出しても失踪者であるのが分かるだけです。百貴自身も探している人物なのでそれ以上の情報はない。
(それでも情報を共有すべきだとは思いますが)
遠巻きに言っていた台詞はあります、「カエルは椋ちゃんじゃない」というもの。これは2話の終盤だったと思います。
情報を秘匿する必要があった?
「しかし、消したのは誰かバッチリ分かっている」
「それが分かるって事は……、井戸端の者で、百貴さんか」
「当たり」
8話のOP前のやり取りです。この消した情報というのは飛鳥井木記に関するもの。
ここでは百貴さんが情報を消したと言っていますが、果たして本当にそうだったのでしょうか?
百貴さんは個人的に飛鳥井木記の事を探していた、そしてクラウドに情報を残しています。しかしそれ以外の情報は井戸端から(もしくは公の情報から)消されていました。
飛鳥井木記の情報を隠したい人物といえば誰か? 局長でしょう。局長は飛鳥井木記を蔵に封印したまま巨大なミヅハノメとして使うつもりでした。なら失踪者として扱っておく方がいい。
なので、ここで情報を消したのは局長だと考えますが、それだけでは百貴さんが自身のクラウドに飛鳥井木記の情報を隠していた意味が分からない。
ここからはあくまで妄想になります。
井戸端から飛鳥井木記の情報が消されていると気付いた百貴さんは自分で集めた情報をクラウドに隠した。そして井戸端メンバーにもその事を告げずに、一人で飛鳥井木記を探していた。
一応これも黙っていた理由にはなると思います。
花火の9秒
ニコ動のコメントで気になるものがあったので取り上げてみます。
ちなみに回答はないので、モヤモヤするのが嫌な方は読まない事をおススメします。
「花火大会がちょうど今夜みたいです」
これはイドの中のイドで鳴瓢が始めて飛鳥井木記に会うシーンです。
台詞の通り定期的に花火の光が映像に流れます。問題はその「花火の間隔が9秒」であること。
9秒といえば雷のイドで落雷が起きていた間隔と一致します(正確には9.03秒)。これには何か意味があるんでしょうか?
真っ先に考えたのは鳴瓢が現実で家族と一緒にこの花火大会に行ったというもの。その時の楽しい記憶が逆に自分を苦しめる雷になった、という解釈ですが、残念ながら鳴瓢の家族写真に花火大会らしき物は見つけられませんでした。回想シーンにもないです。
他にも細々と考え付く事はありますが、どれも決定打にはならないので諦めます。果たしてこの花火の9秒間隔には何か意味があるんでしょうか?
脳のストレッチとしてあれこれ考えてみるのもいいかもしれないですね。
9話の役割
鳴瓢の過去が明らかになり、カエルちゃんらしき人物である飛鳥井木記が登場しました。全体のピースが揃って来た感はありますが、はめ方が分からない。
ジグソーパズルで知恵の輪をさせられている感覚です。
謎の上に謎が重なるというややこしい状態ですが、観ていて嫌にならないのはドラマがしっかり動いているからでしょう。今までの死んだような鳴瓢がここへ来て活き活きとしています。
それも次の話までですが……。
という辺りで9話の再考察は終了。ちょっと小ネタが溜まって来ているんですが、次辺りに書ければいいなぁという感じ。
残り四話ですね、ボチボチ行きたいと思います。