アニメをっち

アニメの感想、持論などを好き勝手に書いております

アニメ「富豪刑事 Balance:UNLIMITED」の1話を観て二度と観ないと思った理由

 あらかじめ断っておく、この作品が好きな人は読まないで下さい。特に全肯定している人は今直ぐブラウザバックをお願いします。この記事を読んで不快になったとしても責任は取りません。

 好きだけど許容量のある人や、同じように違和感を感じた人のみお付き合い下さい。

 

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©筒井康隆・新潮社/伊藤智彦・神戸財閥

 

前置き

 この作品が子供向け、もしくはティーン向けの作品であるのは分かる。ありえない資産を持った主人公がその金を事もなげに使って事件を解決する、という一般市民には出来ない事をやるというエンタメなのも分かる。

 それが分かった上で、それでも納得できないからここに書く。

 

かっこいいの?

 まず最初に感じたのはこれだ。ニコ動で視聴したのだが何度もこのコメントを見かけた。特に主人公が金を払うシーンだ(と思う)。

 確かにこの不況時にためらいなく金を払う姿はカッコ良く見えるのかもしれない。その原因を作っているのが本人だという点を除けば。

 どれだけ他人に迷惑を掛けても金で解決できると思っているその精神性には関心すらする。

 

 恐らくこの作品の趣旨は、自らの正義の為に金という手段を使ってあらゆる事件を解決するというものだろう。メインキャラの一人である一課を追い出されたらしい熱血漢と、最初は犬猿の仲のように見せかけて徐々に主人公の正義心を理解して認め合う、全体としてはそんな流れだと思う(間違ってたら恥ずかしい)。

 だが残念な事にその主人公の内面が一切見えてこない。これは台詞がないとかそういう次元ではなく、絵で説明する気もないのだろう。

 ひたすら金を払っているだけで内側の熱量が全く見えて来なかった。この辺りは原作を読んでいれば話は違ってくるのかもしれないが、少なくともアニメだけでは感じられなかった。

 迷惑を掛けて金で解決するだけの主人公、これって本当にカッコいいの?

 

 一つ言えるのは、不況続きのこの国でこんなカッコ良さに憧れてはいけない。そしてそういう作品も作ってはいけない、そう考えるのは間違っているんだろうか? エンタメだとしてもこれは方向が間違ってないのか?

 

品がない、下品

 バブル期の日本人がやった事としてこんな話がある。

 ヨーロッパの漁師の家に夜中に押し寄せて、近くの島に行きたいから船を出せと言ったらしい。当然のように漁師が断ると、「じゃあ、いくら出せばいい?」と。

 この残念な男とこの作品の主人公はどう違うのだろう? 少なくともはたから見れば同じだ。金があれば解決できる、金を支配しているようで支配されているのはどっちだ。

 

 人を殺しても金で解決しそうだ、とも思ったがこれは違うのだろう。

 作中で道路に飛び出した?(記憶が曖昧)母子を避けて車で電柱にぶつかるシーンがある、命は別だと言いたいのだろう。1話の冒頭に主人公の過去らしい映像もあったし、今後明らかにされていくのだろうが、正直そこまで付き合う気にはなれなかった。

 

お金って何だ

 金で全てが解決できると思っている人は考えを改めた方がいい。

 「金は命より重い」なんて言葉がどこぞの作品にあったが、その作者は自分の親や子供にいくらぐらいの見積もりを付けているんだろう。自分の手足やプライドにも値札を付けて歩けばいいのに。

(とは言っているが、福本さん自体は嫌いではない。それよりこの言葉を何も考えずに使っている人たちには警告したい。やめておけ、言葉は自分に返って来る)

 

 お金はフィクションだ、人が勝手に作った約束事だ。これを使えば色々な物が買えると保障されているから価値がある、そんなただの紙だ。

 今は時代も変わって来て、人生ゲームの目的も金からフォロワーの数に変化しているらしい。実際フォロワーの数が多ければ、無一文でも食べ物や寝る場所には困らない時代になっているらしい(もちろんフォロワーが金を払う場合はあるが)。

 

 お金は信用で、信用は金では買えないとも言う。どこかの社長がツイッターで金をバラ撒いてフォロワーを集めたが、彼の事が人間的に好きという人はその中にどれだけ居るのだろう。

 まぁこれに関しては本当に分からないから知りたいところだ。

 

 しかしその反面、金がなくて人が死ぬのも確かだ。妙な話だ。自分たちで作った決まり事なのにそのせいで死者が出る。これは人が金を使いこなせていないのか、もしくは人が本来そういう生き物なのか、もしくは金を作ったせいでそうなったのか。

 回答は分からない、一生かけて考えればいい。

 

 

 一応付け加えておくが、金が悪いと言っている訳ではない、全てでは無いと言っているのだ。金は大事だが過信すると何かを踏み外してしまう。

 

ホームズとの違いは?

 話がそれた、『富豪刑事』に戻る。

 

 同じような作品として『シャーロック・ホームズ』シリーズがある。かなりの人格破綻者であるホームズが独自の方法で事件を解決するミステリー作品だ。

 シャーロキアンと言うと怒られるレベルの人間ではあるが、それでもホームズは大好きだ。今は手元にないが、昔は全巻揃っていた。主に短編を何度も読み返していた記憶がある。

 そこで思ったのだが『ホームズ』は良くて『富豪刑事』がダメなのはなぜか? 同じように事件解決に手段を問わないキャラクターであるにも関わらず、一体何が違うのか?

 

 

 やはり人物の魅力にあると思う。ホームズの異常性、謎を解くまで一睡もしなかったり食事も摂らなかったりと、事件を解決するまで周りが心配するぐらいの熱量を見せる。そして解決の際にはワトソン(読者)をビックリさせる手法を取ったりする。

 能力の高さも魅力の一つだが、その仮定や普段の何気ない会話にある狂気も一つの魅力になっているだろう。

 

 それに対して『富豪刑事』はひたすらクールだ、表情がない。やっている事といったら迷惑行為と金を払う事だけだ。

 まぁイケメンには描かれているし金も持っている設定だから、それだけで「カッコいい!」と思える人にはいいんだろう。

 やっぱりティーン向け作品にいい大人が何を言っているのか、と思ってしまうが。それでも金を払ってカッコいいはもうやめておけとは思う。

 

 人間性に関しては今後明らかになっていくのは分かっている。でも主人公が金を払う姿に「かっこいい」というコメントが重なるのを見るのはもう嫌だから、二度と視聴する事はないだろう。

 一期一会の一話切り、諸行無常

 なーむー。

 

アンドロイドと考えればいい

 フと思ったのだが、主人公がアンドロイドとして見れば違和感もなくなるんじゃないだろうか?

 主人公はグーグルかアマゾン辺りが作った最新のアンドロイドだ、だから人格はない。そんなアンドロイドが試用実験として社会に放り込まれた、しかも事件解決の警官として。

 バックには世界企業が付いている、何をやっても金で解決できる。そうやってアンドロイドの社会進出を狙った一大プロジェクト、それがこの『富豪刑事』だったんだ!

 

 こうやって脳内変換したら割りと問題なく観れそうだけど、そこまでして観る必要があるとは思えない。それよりさすがに反感を買いそうだからこの辺でやめときます。

 

 失礼しました。

 というか謝らなければいけないような人は読んでないよね? 頼むよほんとに。