アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」 11話の再考察
全話視聴済み。その観点からネタバレ込みで残った謎に可能な限り回答していきたいと思います。
11話は初めてのイド嵐と、イドの中のイドで本堂町の推理が冴え渡る回です。そしてついにジョン・ウォーカーの正体が明らかに……! なりましたね。
コックピットの移動
11話は分かりづらい部分が多いので一つずつ行きます。
「気付いてるか? ほんのさっきまであったコックピットが……」
砂嵐で見えづらい画像ですが、鳴瓢が使っていた砂漠のイドのコックピットが消えています。その後の台詞でイド嵐と同時に消えた(移動した)のが判明します。
イドは思念粒子によって作られたもので、過去のものです。それが同じ人物の思念粒子を再度検知する事で更新される。
雷のイドと砂漠のイドは共に鳴瓢の思念粒子から生まれています。それがイド嵐の影響でつながった、ここではそう説明されています。イド嵐によって更新と同じような事が起こったのでしょう。
そのせいで雷のイドに居た聖井戸がコックピットごと砂漠のイドに移動した。ちなみに聖井戸が砂に埋もれていたのは砂漠のイドがそれだけ砂で埋め尽くされているからでしょう。
どうして雷のイドでイド嵐が起こらないのか? と少々疑問はありますが、完全に同期した訳ではなく、部分的につながったと考えるのが妥当なところでしょうか。
イド嵐からの脱出
これについては以前の記事にも書いたんですが、完全に納得した訳ではないです。
(「イド嵐からの脱出方法」の項目参照)
死に掛けの五分
「なるほど、今の僕たちにチャンスがあるのはそういう事か。僕たちの死に掛けの五分は外の五分じゃない」
これは、観察者が居ないので時間が伸び縮みする、の後の台詞です。少し引っかかったので書きます。
死に掛けの五分と言ってますが、イド嵐に呑まれても死ぬ訳ではありません。名探偵は死なずにイドの中を永遠にさ迷う事になるはずです。じゃあここで死を意味するのは何か?
恐らくですが、観察者が居なくなる事です。井戸端がイドの観察をやめると排出が出来なくなる、なのでその前に観察される場所へ行く必要がある。
ちなみに時間の伸び縮みについては10話の序盤で飛鳥井木記が「夢の時間は外の時間とは関係ないんじゃないでしょうか」と言っています。
イドの中のイドの時間、イド嵐から脱出する為の時間。共に同じトリック(?)です、しかし後者はこれを利用している。最初はその現象に振り回され、次はそれを利用して生き残る。
クレバーです。
この世界そのものの被害者
「カエルちゃんは殺人事件、もしくはこの世界そのものの被害者で、俺たちは名探偵だ。彼女の用意した謎を解く俺たちに悪意を向けるはずがないだろう。彼女が最初から側に居るように伝えてたんだ」
カエルちゃんが布で酒井戸と穴井戸の手首を自分の手首を結んでいたのは「動くな」というメッセージだった。だからカエルちゃんの側へ戻った。
そうなるとカエルちゃんは局長の罠を知っていた事になる。でもどうやって知ったのか?
それに、ややこしいのは雷のイドと同じトリックだという点です。この文脈で行くと局長の罠がなければカエルちゃんの布のメッセージはなくなる事になる(もしくは何もないイドだから動き回るなというメッセージになった)。
「鳴瓢、お前、飛鳥井さんの事で何か思い当たる事はないか?」
「思い当たる事は……、ある」
最初の台詞は百貴さんの回想の台詞です、10話で飛鳥井木記が消えた集団看護士昏睡事件の直後にかかって来た電話の内容です。その時、鳴瓢は「いえ……」とはぐらかしました。
やはりこの時に鳴瓢は飛鳥井木記がミヅハノメに関わっていると確信したんでしょう、本人がミヅハノメの中に居る事まで見抜いたのかは分かりませんが。
そして飛鳥井木記=カエルちゃんは敵ではない、だから彼女の側へ戻った。
前の記事で書いた観察者=カエルちゃん説も間違ってはいないと思うんですが、見返すと少し疑問はありますね。
鳴瓢はこの時、何を思っていたのか……? これを完全には把握できませんが、多少は近付けたと思います。後は各自で考えて下さい。
ジョン・ウォーカーの犯行手口
以前にも少し触れましたが、今回はもう一歩突っ込んで考えます。
これまでの手段
「殺されるに相応しい事をしたじゃないか。君をわざとこのイドに閉じ込めたんだ、まさしくこの場面を夢で見ていてね。同じ光景になった時に何かが僕を突き動かしてそれに僕は乗ったんだ」
以前にも引用したシーンです。夢の中で体験する事で現実でも同じ行為をしてしまう、これが恐らくジョン・ウォーカーの手口なのでしょう。
しかし飛鳥井木記を殺させて連続殺人鬼を作るのと、この状況を作るのでは大きな違いがあります。
これはイドの中のイドに居る穴空きが見た夢の画像です。どうやらジョン・ウォーカーは連続殺人鬼の候補を飛鳥井木記の元に連れて来て(どうやって連れて来たかは不明)彼女を殺させるようです。
しかしイド嵐を起こさせるという計画は前の記事で扱いましたが、かなり長いものでした。場所も砂漠のイドの中です。
早瀬浦局長が持っていたかもしれないもの
何の能力もない人間にこれらの事は可能でしょうか? 誰より先に飛鳥井木記の夢の中に入った早瀬浦局長。彼にも何かしらの力があったと思いますが、それにもいくつかの可能性があります。
- 能力者だった
- 飛鳥井木記の夢やイドの構造を知り尽くしていた
- ミヅハノメのような装置をプロトタイプが作られる前から持っていた
能力者だったというのは最も便利な解釈だと思います。割と何でもありになります。
次に夢やイドの構造を知り尽くしていた可能性ですが、それを自在に操るにはやはり何らかの能力が必要になりそうです。
ジョン・ウォーカーが探偵の姿である事から、ミヅハノメやそのプロトタイプより前の装置か何かを持っていた可能性も考えられます。
連続殺人鬼の犯行の整理
ジョン・ウォーカーによって作られた連続殺人鬼の言動を振り返ってみます。
まず顔削ぎですが、彼は飛鳥井木記を殺しているのが夢の中だという自覚がありました。
対マンも飛鳥井木記によると「夢の中で殺すだけでは物足りなくなった」らしいです。夢と現実の区別がついている。
つまり夢の中で飛鳥井木記を殺すだけでは連続殺人鬼は生まれないと考えていいと思います。実際、顔削ぎはまだ現実での犯行に及んでいませんでした。
なので恐らく次の段階があるのだと思います。それはきっと砂漠のイドで穴空きにさせたようなこと、似た状況を夢の中で見せて、現実でもつい行ってしまうようにする、という手口です。
彼ら連続殺人鬼は殺人を犯す衝動は持ち合わせていました(夢の中で飛鳥井木記を殺害する事で精神的なハードルがなくなった)。しかし衝動的に人を殺せば直ぐに捕まってしまうでしょう。
連続殺人鬼は一度の犯行で捕まってはいけない、つまり計画的な犯行でないといけません。
なのでジョン・ウォーカーは連続殺人鬼の候補に夢の中で飛鳥井木記を殺させて殺人衝動を作り出す(慣れさせる)。そして実際の犯行に似た状況を夢の中で見せ、犯行の後始末や全体の計画を夢の中で行わせていた。
そんな形で連続殺人鬼を操っていたのではないか……?
当然ですが、全て推測です。事実らしきものの上に自分の考えを乗せただけです。人によっては別の物を乗せるかもしれません。
しかし今は一端、この仮定を元に進めます。
どんな力が必要か?
ここまでで局長に必要とされたのはどんな力か挙げてみます。
- 連続殺人鬼候補を選び出して飛鳥井木記の夢に招き入れる(選んでいれば)。
- 曜日分けをしていたようなので、決まった日に決まった人物を飛鳥井木記の夢に入れる。
- 現実と似た状況を夢の中で作り出す。
- その作った夢に連続殺人鬼を招き入れる。
まだあると思いますが、ザッと浮かんだ範囲でこんなもの。これはもう夢の中で神様のような力を持っていないと不可能ですね。
「可能性の未来」という要素もあるので、もしかしたら飛鳥井木記も気付いていないような無意識の世界をミヅハノメのような装置を使って行き来していた可能性もありますが、それにしては少し万能すぎると思います。
追記:12話で裏井戸が行ったイド間の瞬間移動は名探偵なら可能なようでした(でも他の名探偵はそれが出来ると気付いていない)。これは超能力というよりイドの仕組を知っているからでしょう。
ミヅハノメのような装置+構造を知り尽くしていた、辺りが妥当なラインだと思いますが、それで全ての行動が説明できるかは分かりません。
個人の考察の限界
早瀬浦局長の能力について、個人的な考察はこの辺りが限界です。これ以上は各自で考えて貰えると助かります。この説の中で感じた疑問や他の可能性を元にすれば別の説が生まれると思います。
各自で納得できる説を考えて下さい。もし完全に正しいと思えるだけの証拠があればシェアして貰えると助かります。
一応、この作品には続編にあたる漫画版(『 #BRAKE-BROKEN』)が存在しますが、それは局長が起こした事件の後の話らしいので残念ながら局長は登場しません。なのでこの謎が解明される事は恐らくないでしょう。
11話の役割
7話から続いたイドの中のイド編がここで終わります。カエルちゃんの本体である飛鳥井木記が何者なのかが(ある程度)分かり、本堂町も無事に救出します。
そしてジョン・ウォーカーの正体まで分かり、万々歳! と行けばいいんですが、そうは問屋が卸しません。
ここからは黒幕が最後の計画を実行に移し、それを収束させる為に主人公たちが動き回る。という形で終幕へ向かって行きます。
ではこの辺りで11話の再考察は終了。
残り二記事で片付くのかこれ……?