アニメ「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」 12話の再考察
全話視聴済み。その観点から残った謎に可能な限り回答を出していこうと思います。
12話は飛鳥井木記が開放され、蔵の中が大混乱に。局長は自殺して自らのイドへ逃げます。そして穴空きと井波がそれぞれの結末を迎える、そんな回です
飛鳥井木記はどこへ行こうとしていたか?
12話OP後の飛鳥井木記、凶悪なイドを垂れ流しながら彼女はどこへ向かうつもりだったんでしょう?
さっさと回答に行きます。
この画像は13話、百貴さんが飛鳥井木記を見つけた時のものです。外を見て途方に暮れているように見えますね。
推測ですが、飛鳥井木記はこの建物(蔵)から出ようとしたのではないかと思います。そして周囲が封鎖されている事に気付き、せめて外の見える場所で自分がどこに居るかを確認していた。
なのでこの問いに対する回答は、人の居ない場所へ行こうとしていた。ではないかと思います。
ちなみに蔵全体を覆っているあの装置に飛鳥井木記を拘束する力があるのかは分かりません。単純に迷子になっていた可能性もあります。
もっと低い階に居れば百貴さんもそれほど苦労しなくて良かったのに……。とは思いますが、結果として上手く行ったので良しとしましょう。
しかしこれだけ歩き回れるぐらいには元気になったんですね、それだけでも良かったというべきなんでしょうか。
「穴は、一つ」再考
この部分については以前に一度触れました。
頭の穴に同じものはない、この台詞で既にピンと来た方も居るのかもしれませんが、ハカホリの穴と自分(アナアキ)の穴は違うものです。でも新人ちゃんに対しては「穴は一つ」と言っている。
これは自分の穴と新人ちゃんの穴が通じている、一つのものである。という愛情表現や告白のようなものだと解釈しています。
これも間違ってはいないと思うんですが、もう少し気になった部分があったので書いていきます。
もう一度突っ込む?
「あなたがやるべきなのは、あなた自身にもう一度そのドリルを突っ込む事でしょ。なによりも、あなたがそうしたいんだから」
11話、イドの中のイドで本堂町が穴空きの所へ行き、一連の会話の後にジョン・ウォーカーの正体を突き止めるシーン。
前回の記事では扱いませんでしたが、実はこの台詞の意味が良く分からなかった。2話では「他人が頭に穴を開けるところが見たかった」と言っていたはずなんですが、この二つは少しニュアンスが違って聞こえます。
2話の台詞の個人的解釈は、自分の頭に穴を開けたように他の人も自分で頭に穴を開ける。それはつまり、自分と同じ事をする人を見たかった、という事です。
でもこれだと11話の台詞とは噛み合わないですね。
この台詞の理解は自分には無理だと判断しました。言語化できる人は教えてくれー!
でもこの台詞を踏まえると、「穴は一つ」の意味が少し変わって来るように思います。
2話で穴空きがやったのは、自分の頭に穴を開ける代わりに本堂町の頭に穴を開ける事でした。だから「穴は一つ」、本堂町の頭に開いている穴は穴空き本人が開けるはずの穴だった、と解釈できます。
これが合っているかは分かりません、そもそも台詞の意味を理解していないのでそこから出直して来いという感じはありますが……。
これに関しては考察以前かもしれません。人間的に分からない部分ですね、人生経験の違いでしょうか。ちょっと寂しい。
井波の写真が欠けていた理由は?
本堂町が「私の秘密」として語った事です。数田遥のイド(落下するイド)で見つかったこの写真ですが、なぜか井波の顔が欠けています。これはなぜか……?
個人的にいくつか説を考えていました。
例えば井波は6話で本堂町に「付き合っていた男がいる」と言っています。数田遥はその時にこの写真を破ってしまったのではないか?
もしくは殺意と恋愛感情の入れ替わっている数田遥です。写真に殺意が向かってしまったのかもしれない。
等の説を挙げて終わる予定だったんですが、ニコ動のコメントにこんなものがありました。
「井波をジョン・ウォーカーから隠す為」というものです。
こちらが正解です。名探偵発見!
数田遥のイドは恋に落ちたイドでした。しかし脳に変調を来たしたせいで殺意と恋愛感情が入れ替わっています、なので恋愛感情(井波)を殺意(ジョン・ウォーカー)から隠す必要があった。
それを写真でもしていたんですね。
ちゃんと筋が通ってますね。いやー、お見事です。
自殺のイド
2話の本堂町のイドです。このイドの特殊なところはイドの主が居ない事です。
穴空き・花火師・残念な大野さん・数田遥・井波七星・鳴瓢秋人、とこれまでの全てのイドにはイドの主が存在していました。
しかし本堂町のイドにはカエルちゃんしか居なかった。
これがなぜなのか分からず、いつかの記事では「自殺したからではないか?」と書きました。ただ他に自殺した人間のイドがないので確かめようがない、とも書いたと思います。
もう一人の自殺者
居ました、自殺した人。早瀬浦局長です。
そして局長のイドにもやはり本人の姿はないようでした。
しかし一点引っ掛かるのは、本堂町は数田遥を殺害しています。自殺のみではなく他殺もしている、なら自殺のイドとは言えないのではないか?
でもこれにも回答はあります、イドが更新されていないからです。ドリルのイドは本堂町が自殺した時のイド、数田遥を殺害した後のイドは作中に現れていません。
12話でもドリルのイドが登場しますが、同様に鳴瓢の雷のイドも登場しています。これは飛鳥井木記が昔のイドであっても記憶している、という性質から来るものでしょう。
それでも……
一応これで筋は通っていると思いますが、早瀬浦局長が特殊な存在であるのを考えると絶対とは言えません。本堂町も何かしら特殊な人間である可能性はあります。
ただ、本堂町に関しては漫画版でも活躍しているようなので、そちらで明らかになる可能性はあります。
早瀬浦局長にとって本堂町はどんな存在だったのか?
「連続殺人鬼メーカー、ジョン・ウォーカーの捜査に、協力していただけますか?」
「もちろんです」
「本堂町さんの活躍を、是非とも期待していますからね」
6話で本堂町が名探偵に任命されるシーンです。
ジョン・ウォーカーの正体が分かった今から見ると「いけしゃあしゃあと何を言ってるんだこの爺さんは……」と思ってしまいますが、この時から二人の関係が気になってました。
ここでは早瀬浦局長の計画に本堂町は入っていたのか? について考えてみたいと思います。
ただの名探偵?
早瀬浦局長にとって鳴瓢は必要な存在でした。連続殺人鬼を始末する役割として「追込み」は計画に欠く事の出来ない存在です。
同様にその「追込み」を始末する計画に、穴井戸である富久田保津も入っています。この計画がいつから考えられていたのかは分かりませんが。
蔵が巨大なミヅハノメと化して事実上崩壊した後、後任として選ばれたのは百貴さんでした。だからジョン・ウォーカーの容疑をかけて一時的に蔵から隔離していたのでしょう。
この蔵の新体制の中に本堂町は入っていませんでした。事実、彼女は井戸端メンバーや鳴瓢たちと共に蔵の中に閉じ込められました。
トリックスター
恐らく早瀬浦局長にとって本堂町は想定外の存在だったと思います。偶然生まれた名探偵。
局長の計画に関わったのは、イドの中のイドに潜ってそれを酒井戸・穴井戸コンビが救出に行く、という部分をだけです。このイドの中のイドもジョン・ウォーカーの正体に辿り着く手段だったので、恐らく早瀬浦局長の計画にはなかったものでしょう。
結果的にジョン・ウォーカーの正体を暴き、そして最後に追い詰める役割を果たす本堂町。
この作品の視聴者にとって一番のトリックスターは富久田保津だったと思いますが、局長にとってのそれは本堂町だったのではないかと考えます。
推理物で良くあるあれです、犯行の途中に出て来る不確定要素。それが元で完全だった計画が崩れてしまう。
局長にとって本堂町はそんな存在だったのではないかと想像します。
12話の役割
最終決戦前半戦です。今回は主に黒幕である早瀬浦局長の動きに翻弄されています。そして準主役のキャラクターたちがそれぞれの形で決着を向かえました。
この段階で死ぬ人間と生き残る人間がハッキリと分かれているのも面白いですね。
そんな彼らの死を乗り越え、準備の整った二人(と百貴さん)が決戦に向かう。
こんなもんハラハラしますよそりゃ。
という辺りで12話の再考察を終わります。
残り一記事で終われるのかは分かりません。それと公式ツイッターの回答も気になるところです、そこで新たな事実が分かったらまた考察するのか……? と何やら悩ましいところです。
現実には不確定要素が一杯ですね。