アニメ「グレイプニル」１・２話を観た感想
遅ればせながら今期アニメをあれこれチェック中、その中で気になったものをいくつかピックアップして記事化していこうと思います。
今回はこの作品。
ザックリ概要
内容をザッと説明すると、謎の着ぐるみに変身する力を持った主人公（加賀谷修一）が火事で少女（青木紅愛）を助けるが、彼女に変身能力がバレてしまう。
そして少女も行方不明でバケモノである姉を探していて、手がかりであるコインを集める他のバケモノたちと協力して戦う事になる。
２話まではそんな感じ。
ちなみにタイトルである「グレイプニル」の意味はこちら（検索したら出て来た）。
北欧神話に登場する魔法の紐（足枷）。フェンリルを捕縛するためにドウェルグ（ドワーフ）たちによって作られ、テュールによってフェンリルに繋がれた。語意は「貪り食うもの」。
今のところ作品の内容との関連は余り見られず。
シンジくん問題
この作品の主人公は自分の変身した姿をバケモノと呼んでいる。変身すると見た目の変化だけでなく身体能力も大きく向上するが、本人はその能力を嫌悪しているようだ。
合っているかは分からないが、この変身した姿というのは男の子に内在する性欲や暴力のメタファーに思える。それらを上手く扱えない事への不安や恐れがこの作品の主人公にある、と感じる。
自分の力である暴力や性欲、これらを上手く扱えないキャラクターといえば『新世紀エヴァンゲリオン』のシンジくんこと碇シンジだ（世代にもよる）。
自分に自身がなく、自己肯定感も低い。そして自分の中にある暴力性や性欲を認めてくれる相手もおらず、ただただ内向的になっていく男の子。
『新世紀エヴァンゲリオン』が放送されたのは1995年、既に25年も経っているのにこの問題は解決していない。
この問題をもう少し普遍的に言うと、近代化した社会の中で男の性欲や性衝動をどうすればいいのか？ という問題だ。
「そんなもん勝手にしろよ」という声も聞こえてきそうだが、これは中年男の不倫問題も含めて中々やっかいな問題である。草食男子という去勢された男たちもこれと同じ問題を含んでいると思う。
合体シーン
しかしこの作品ではもう一歩踏み込んだような描写があった。主人公の変身した姿の背中には、なんとファスナーが付いていたのだ。
勇気のある事に女の子はそれを開いて中に入ってしまう。そして一体感のようなものを互いに感じるのだが、それがどう考えてもセ○クスにしか見えない。
（余り関係ないが、ミスチルの名曲「ファスナー」を貼っておく。歌詞が素晴らしいので知らない人は一度聞いて欲しい）
シンジ君にとってゴールであり散々じらされたにも関わらず結局一度も出来なかったそれを、この作品の主人公は２話でしてしまうのだ。男の子的にはそれで終わりじゃないか、ハッピーエンド！” という訳にはいかない。そこからようやく物語というか戦いが始まるのだ。
それを考えるとこの作品のテーマは、セッ○スでは救われなかった男の子の話、となるのだが、残念ながら今の状態ではまだ分からない。
出来れば○っクスに溺れてダメになる男の子のエピソードも見てみたかったが、どうやらそれほど依存体質な主人公ではないらしい。案外その辺はサバサバしている、つれない子ねぇ……。
人形と血
最初にこの作品の画像を見た時は女性向けの作品だと思った。可愛らしい人形が血まみれで戦う作品だと思ったからだ。
「グルーミー」で合っているのだろうか、可愛い＋グロというコンセプトのイラストや人形でお馴染みのあいつだ。
誰かが言っていたが、あれは女の子の内面を表しているらしい。表面的な可愛さとその内側にある残酷さ、血は食欲や本能のメタファーであるとかなんとか。
だがそんな予想が大きく外れていたのは今までの文章で分かるだろう。これは完全に男の子の為の物語なのだ、男の子が自分の力を受け入れ、そして何かの為に戦う物語だ（でも女性がどう感じるのかは気になるところではある）。
内側に秘めた本能という意味では同じテーマなのかもしれないが。
とりあえずパンツ！
女性に薦められない理由の一つとしてこれがある。とりあえずエロで釣っとけ、と言わんばかりに下着が映る。これだけだったら正直、１話で切っていたと思う。
これが作者の趣味なのかは分からない。でもとりあえずエロを出しておけばある程度の客は付く、どんなに面白い話だって一定の人気がないと連載は続けられない。そんな大人の理由もあるから、この点に関しては何の言葉もない。
要は他に見せたいものがあるかどうかだ。それがパンツやエロ以外にあるのなら視聴に問題はない。この作品はどうやらあるっぽいぞ、と今のところは思っている。
継続視聴
とまぁ、気になる点の多い作品である。それは作中の謎、主人公がこんな能力を持った理由やヒロインの姉がバケモノになった理由（これらは多分、同じだろう）。コインが何なのか？ といったものもそうだが、今まで述べたようにメタファーとしても見やすい形になっている。
シンジくん的な主人公像があれからどう変わったのか？ 表面的には去勢されて自らを認められない男の子がこの25年でどう変化したのか？ それらを知る上でも興味深いと思う。
ただし原作がある作品だ。これがどういう事かというと、ほとんどの場合アニメで完結しない。他にもニコ動で観ている為にたまにネタバレがあるというのも覚悟しなければならない。
ニコ動で観なければいい？ 無茶を言うな。俺はもうコメントなしではアニメを観れない体になっちまったんだ……。そう、バケモノのような体にな！
と、無理にオチをつけたところで終わる。
