本「少女マンガで読み解く 乙女心のツボ」に見る少女マンガのツボ
少女漫画の解説本を探していたんだけれどいいのが見つからず、期待薄ながら手に取ったのがこの本でした。
でも読んでみたらこれが面白い。少女漫画を通して女心の分析にまでいたっている。
なので、アニメとはちょっと違うけれどこの本について書いてみたいと思う。 本当は全部引用したいぐらいだけれど、主に四章の「五大妄想」を中心に書いてみる。
前置き
タイトルからして男性向けである。女性が読んでも「今更、何言ってんの?」となりかねないが、それぐらい男は分かってないという前提で見ていただけるとありがたい。
五大妄想
この五大妄想とは少女漫画に度々現れる設定の事らしい。ただし実際にやると犯罪行為であるし、嫌われるどころかブタ箱行きなのは間違いないような設定だ。
ではなぜそんな設定が好まれるのか? というところに乙女心(?)」のややこしさがあるらしい。
逃亡チュー
無理やりキスして「かくまってくれ」というもの。
そういえばスパイ物か何かで見た気がする。少年誌ではほぼ無いよなぁ……?
この本によると、女性は何かの犠牲になってチューやセックスをするのが好きらしい。もちろん相手は選ぶだろうが。
これは自ら求めていない、サカっていない言い訳としても使われるらしい。
ストーカー
れっきとした犯罪行為、絶対に嫌われるからやめろよ! と前置きした上で、なぜこれが良いのか。
設定上だが、ストーカーをする男は仕事の関係や誰かに頼まれたりしてその女性をストーカーする。ストーカーというより調査に近い。
そしてその女性を知って行く内に好きになってしまった、という。どうやらここがポイントらしい。
自分の事を良く知って惚れられる、これがたまらないのだと書かれている。
愛のないセックス
これはちょっと例外なのかもしれない。まぁヒロイン(主人公)以外の女とはいくらでもやっても構わないという作品はあるようだが。
条件は、その男が女や恋愛に興味がないこと、そして人を操るのが特異、情に弱い、お小姓のような存在を可愛がっている。
と、何やらややこしい条件だ。これも少女漫画特有の現象だろうから、現実でやるのは厳しそうだ。
監禁萌え
ストーカーと同じく犯罪行為、五・六年前にあったよな確か……。
ではなぜこれが女性の萌えなのかというと、思いの強さからやってしまった! という動機が良いらしい。しかも命も身体の危険もない状態でないといけない。
思わずさらって監禁してしまったけれど、その人が嫌がるような事は一切しない。精神的にも肉体的にも、もちろん性的にも傷付けるような事は一切しないのが条件なんだそうな。
これは中々奥が深い……。
寒いんだもん!
突然の雨や不慮の事故で体が冷えてしまう、でも温まる物は一つもない。そこで「人を温めるのには、人肌が一番いいらしいぜ?」となるらしい。
男版のラッキースケベが近いかもしれないが、それは主に見えた触れたが中心だ。こっちの設定はイチャイチャするキッカケが与えられるというのが大事らしい。やはり意に沿わない接触は好まないのだなぁ、とつくづく思う。
いや、男は案外OKなんですよねこれが。潔癖症はダメだろうけど。
五大妄想を分析する
以上が少女漫画で度々使われる(もしくは使われた)手法らしいが、これを少し分析してみたい。
まずは「逃亡チュー」。
本書の中ではチューぐらいなら無理やりされても良いと書かれている(が、かなり個人差あり。本のレビューで怒ってる人がいた)点と、自ら求めていないアピールも面白い。
別の項に書かれている事だが、女性は自分の人格を無視して性的な目で見られるという屈辱的な経験をしている、ようなので(身に覚えはある)自ら積極的に相手を求められないそうだ。単に文化的な世襲かもしれないが。
求めているけれど自ら行くのははしたない、もしくは抵抗がある。この心理は中々やっかいだ。
次に「ストーカー」。
見た目だけではなく中身を知って欲しい。
これは男だって色々言いたい事はあるんだけど、まぁ清潔感があればいいって言うよね。どこまで本当か知らないけどさ。
しかし中身までダサダサのオッサンオタクってどうっスか? と何やら卑屈になってしまう。いや、いかんいかん。
そして「愛のないセックス」だが、これは難しすぎて分析は無理。
なので次の「監禁萌え」。
思いの強さと、あくまで相手への配慮を忘れないこと。
でも、いくら配慮したって実際に閉じ込められたら絶対怖いよね? 男でも怖いよ。
最後の「寒いんだもん!」は「逃亡チュー」に近いものがあるかもしれない。イチャイチャするキッカケ作り。
男の欲望と女の欲望
本書の中でもチラリと触れられているが、男は女を外見で選ぶ。これは本能的な行為である。
ただし外見といっても美しいかどうかというより、健康的である方が子孫を残すのに有利だ、というのも付け加えておく。いかに自分の遺伝子を残すか、というのが本能なので、その為に発達したのが視覚情報だと言って問題ないだろう。
もちろん個体差はある、かなりある。不健康な女性を好む男もかなり居る、なので男のハーレムを作りたい人以外はガッカリしないで欲しい。
これに対して女性はどうか? これについても触れられている。
子育てにとって有利な男性、らしい。自らの遺伝子を残すのに女性の方がリスクが高い。妊娠から出産までの時期、そして子供が自立して親離れするまでにかなりの期間を要する。
なので必要とするのは守ってくれる男、面倒見のいい男、そして付け加えるなら財力(安定した生活)や社会的地位もあった方がいいのは間違いない。
ちなみに本書にはここまでハッキリと書かれていない、個人的に多少付け足した部分もある。お馴染みのようなフレーズにうんざりした男性諸氏には謝っておく、すまん。
ただ、一つ希望があるとすれば、いくら金持ちで条件のいい男であっても「トキメキ」がなければ恋には落ちないらしい。恋愛が出来なければ結婚には至らないので(そうでもない人も居る)条件のみに囚われる必要はないようだ。
むしろつらい状態にあっても恋に生きれるなら女性はそれを受け入れる、と本書にあった。鵜呑みにするかどうかは各人に任せる。
欲望から見るファンタジー
ではこの欲望の原則から先ほどの五大願望を見直してみる。
「逃亡チュー」
犠牲になるというのは先ほどの「恋に生きる」もしくは殉じるという気持ちに近いかもしれないが、やっぱり言い訳っぽいなぁ。
「ストーカー」
内面に惚れる、自分がその人にとって特別な存在である。
=安心。
「愛のないセックス」
○゜ר#Ш㊤ヾ(判別不能)
「監禁萌え」
それぐらい好き、監禁できるぐらいの資産。
監禁状態は子育てに専念できそうだから悪くないかもね、外出できないのは嫌だろうけど。
「寒いんだもん!」
イチャイチャしたい、でも性交までは行かない。
まぁ少女向けの漫画だからね?(ただし例外あり)
こんな結果となった。
やはり女心は良く分からない、それでも原則の一つは手に入れた気がする。
まとめ
要は「自分が絶対的な存在として思われたい、そして相手は安心できる存在であったり十分な資源を持っていて欲しい、でも恋に生きれるならそれはそれで悪くないよ?」といった辺りだろうか。
恐らく異論や反論はあるだろうが、今後も勉強は続けて行くので勘弁して貰いたい。本書にもあったが、男女はそれぞれ身近なエイリアン(異星人)なのだ。同性であっても分からない事が多いのに、異性となれば尚更ねぇ……。
ちなみに本書には少女漫画が数多く紹介されている、参考に読んでみるのも悪くないだろう。
ただしアニメ化されているのは『NANA』と『ベルサイユのばら』ぐらいだろうか。どちらもかなりの長編なので記事化するのは難しそうだ、無念……。
しかし少女漫画原作のアニメは最近増えているので、またこの議題で記事を書く事もあるかもしれない。
とにかくいい本だった。レビューの星が少ないのは女性が読んだからなのか、もしくは男でもこれぐらいは当然の事として分かっているからか。
本書の元になったコラムがまだ残っていたのでリンクを貼っておく。興味のある方はこちらから入っても悪くないと思う。
そういえばこの状態が最高! と言われていた竹内まりやの曲も貼っておく。「我が世の春」とまで書かれていてさすがに笑ってしまった。