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アニメ「天晴爛漫!」 1話の時代考証

  時代考証とタイトルには書きましたが、当方は専門家ではありません。なので気になった部分を勝手に調べてその結果を記事として上げて行きます。

 興味のある方はお付き合い下さい。

 

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©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会

 

 

 

レース関連

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©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会

 

 まず1話の冒頭で始まる自動車レースですが、歴史的にいつ頃から始まったんでしょう?

 

ja.wikipedia.org

自動車レース、すなわち自動車競技の起源として伝えられているのは1887年4月28日にフランスのパリで行われたもので

1895年11月28日にアメリカ国内で初開催となる自動車レースが行われた。

 

 とあります。

 この作品の時代設定は「19世紀が終わり20世紀の始め」と書かれているのでおおよそ1900年、無理はないようですね。

 

 他にもwikiには、

 

国際レースとしての最初の自動車競技は、1900年から1905年まで6回にわたって開催されたゴードン・ベネット・カップである。

 

 とあります。時代的にはバッチリですが、ヨーロッパで開催されたものがほとんどのようです。

 興味深いのはこちら、

 

1908年にはニューヨーク〜パリ間レースが開催された。

 

 このレースではアメリカ大陸を横断してから渡航するという、何のレースか良く分からない試みがされています。

 しかし作中でのアメリカ大陸横断レースがこれに先んじたものであるのは設定上面白いですね。

 

その頃の日本

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©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会



 さすがは「P.A.WORKS」(アニメ制作会社)というべきでしょうか、背景や風景が美しい。細かなものまでしっかり書き込まれていて、集めた資料への自信がうかがえます。

 

 1900年前後というと歴史的には日清戦争(1894年~1895年)、日露戦争(1904年~1905年)前辺りでしょうか。

 明治維新(1867年)の後で列強諸国からの技術をバンバン吸収していた時期だと思います、……が、この辺りの記憶は曖昧。

 

冬月県 雪ノ下村

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©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会

 

 冬月(ふゆつき? とうげつ?)県という聞き慣れない名前が出て来たので検索してみましたが、これはどうやら架空の県のようですね。雪ノ下村は神奈川にある地名のようです。

 

ja.wikipedia.org

 

 海も近そうなのでモデルになっている可能性はありますが、架空の場所といったところでしょう。

 

 

 それより牢屋が壁ではく柱だけで出来ているのが面白いですね。中が見えやすくする為でしょうか。実際にあったんでしょうが、冬場はたまらないですね。

 

獄中の階級

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©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会

 

 牢屋の中です。奥に行くほど高くなっているんですが、何の上に乗っているのか理解していませんでした。

 良く見ると畳ですね。足元の畳をはがして高さに違いを付けているようです、面白い発想ですね。これも実際にあったものでしょうか?

 

 

 そしてそんな地位や階級といった物に何一つ興味のない主人公の天晴。社会の決まりや世間体というのは全て人間が作ったフィクションです、人が勝手に決めたもの。

 もちろんそれのお陰で社会が上手く回っている部分もあるんですが、天晴にとっては何一つ価値のないものなんでしょう。

 

 天晴、恐ろしい子……!

 

お庭

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©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会

 

 いい庭です。かなりお金も掛かってるんでしょう。

 でも、わび・さびが理解できる境地には達していないのでサッと流します。

 

お部屋

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©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会

 

 薄暗い部屋です、一際目を引くのが鐘の形をした障子窓でしょうか。

 

ja.wikipedia.org

火灯窓・花頭窓(かとうまど)は、おもに日本の、寺社建築・城郭建築・住宅建築などに見られる、上枠を火炎形(火灯曲線)または、花形(花頭曲線)に造った特殊な窓である。

 

 鐘の形をしているのでお寺等で使われたようですが、一般の家でも普通に使われていたようです。ただのデザインと考えていいのかもしれません。

 

 他にも小雨で少し隠れてますが、火鉢もありますね。

 

ja.wikipedia.org

火鉢(ひばち)は、陶磁器や金属や木材などでできた器具で、入れた灰の上で炭を燃焼させ、暖房や湯沸かしや簡単な調理を行うもの。

 

蒸気なんとか

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©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会

 

 何やら面白い事になってますね。

 見事に壁が崩壊して向こう側に海が見えてます。中央辺りに倒れているのは車輪のようですね、片側しかないのはその前に外れたんでしょうか。

 庭の土がえぐれているのは片輪で走って来たからかもしれません。一つ目の岩で残った車輪が外れて本体がもう一つの岩にぶつかった、そんなところでしょうか?

 

蒸気機関

 岩にぶつかってシューシュー言っているのは蒸気機関車のように見えます。

 今はエネルギーがガソリンや電気になっているので存在感は薄まっていますが、当時はまだ現役バリバリだった蒸気機関です。

 

ja.wikipedia.org

蒸気機関(じょうききかん)は、ボイラで発生した蒸気のもつ熱エネルギーを機械的仕事に変換する熱機関の一部であり、ボイラ等と組み合わせて一つの熱機関となる。作業物質である水を外部より加熱する外燃機関に分類される。

 

 物凄くザックリ言うと、水を沸騰させて出た蒸気圧を利用して物を動かす、そんな機関です。

 

 ガソリンで動くエンジンは小さな爆発を起こしているのでボッボッボッという音がします。対して蒸気機関は蒸気を噴出するのでシューシュー音がする。違いは分かりやすいですね。

 

 

 wikiによると発見は1690年、実用化されたのは1712年だけれどこれは鉱山の排水用に使われたようです。

 最初の蒸気船は1783年、蒸気機関車は1804年とかなり時間が経ってますね。

 

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©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会

 

 このカラクリ人形も蒸気機関のようです。

 

黒船来航

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©2020 KADOKAWA/P.A.WORKS/天晴製作委員会

 

 天晴の回想シーン。

 黒船来航は1853年、天晴は1900年前後に19歳なので当然これを見た訳ではありません。

 

 黒船を含めて当時の船は蒸気船だったようです。帆を閉じているのを見ても動力が他にあるのは間違いないでしょう。

 しかし特長的な見た目ですね。

 

 

 えー、調べてみましたが船の特定は無理です。諦めます。資料は絶対あると思うんですが……。

 

蒸気自動車 

  そしてやっぱりメインはこれ、蒸気自動車です。

 前の「蒸気なんとか」の項目で貼った画像にある庭に突っ込んでいた物体ですが、あれが恐らく蒸気自動車でしょう。

 天晴はこの時に蒸気自動車の実験をしていたようです。

 

ja.wikipedia.org

蒸気自動車が発明されたのは1769年とされ、蒸気機関車(1804年)や蒸気船よりも古い。

 

  試作車が出来たのは1801年、1827年から定期運行が始まっているようです。

 「馬なし馬車」と呼ばれていたようです、面白いですね。当時は馬車が中心だったからそういう発想になるんでしょう。

 今なら馬車を「馬付き自動車」と呼ぶ感覚でしょうか。

 

 しかし実用化されたものの騒音や爆発事故で批判を受け、乗合馬車業者からの反発もあって余り進歩せず。

 この辺りは現在のタクシー会社とUberの関係を彷彿させます。

 

 

 興味深いのはこの辺りでしょうか。

 

蒸気自動車は、1890年代の初期自動車レースにおいてガソリン自動車と互角の戦いを見せたりもした。しかし実用上のガソリン車の優位性が明確になるにつれ、1900年前後にはそれら著名な蒸気自動車メーカーもガソリン車生産への転換を図るようになり、(以下略)

 

 つまり1900年の段階で蒸気自動車はガソリン車に惨敗していた訳ですね。

 だから天晴たちの車以外はガソリン車なんでしょう。

 

 

 そんな時代の潮流から外れた天晴たちの蒸気自動車、彼らはガソリン車に勝つ事が出来るんでしょうか?

 と、次回予告っぽくなったのでここで終わっておきます。