アニメ「啄木鳥探偵處」 2話に登場した短歌の解説
2話は残念ながら一首しか出て来ませんでした。なので他に豆知識的なものも載せてあります。興味のない方はスルーして下さい。
三首目「わが抱く 思想はすべて」
「わが抱く 思想はすべて金なきに
因するごとし 秋の風吹く」
因するは原因となる、あたりの意味でしょうか。
客観的でありながら悲しい歌ですね、どれだけの思想や理想も懐具合や生活臭からは逃れられないのかもしれません。
最後の秋の風吹く、がため息のようにも感じてしまいます。
このシーンでは「短歌は金にならない」とも言っています。確かに歌集は一冊で何百もの短歌が収められています。文学と違い文字数が少ない為、相当の数を書かなければ出版できない。
そんな現代の事情と当時のものが同じだったかは分かりませんが、啄木が残したのは『一握の砂』一冊だけでした。
ROMAZI NIKKI
今回、証拠のような形で登場した啄木の日記。これはローマ字日記と言われる物らしく、実在するようです。
どうやら英語もローマ字も堪能であった啄木は、誰にも読まれないように全てローマ字で日記をしたためていたのだとか。
死後にはそれを燃やすように妻に言いつけていたんですが、奥さんはそれが貴重な物だと直感して保存していたらしいです。
レビューを見る限り中々生々しい物のようですね、ローマ字だけではなく約した文もあるようなので読みやすそうではあるんですが……。
これ、現代なら完璧にプライバシー侵害?
YESU KIRISTO
2話の冒頭に映ったもう一冊の本です。細かい字は判別できませんが、太字のものは読めました。
「YESU KIRISTO」とあります。イエス・キリスト、聖書のようですね。殺害現場にあったので被害者の物でしょう。「魔窟の女」というタイトル通り、何かありそうな女性です。
2話について
短歌が一つしか出て来なかったので少々焦りました。恐らく一つの話で二首詠まれるんだと思います。という事は3話でも一首か……。
2話にして前後編なのも驚きですが、観ていて感じたのは芥川龍之介の『藪の中』でしょうか。登場人物がそれぞれの視点で(妄想込みですが)出来事について語るといった構造。
これが原作から意識されていたのかは分かりませんが、遊郭という個人的な空間で繰り広げられているのは面白いです。
まぁ、犯人は飲み屋でチラッと登場した怖い目付きの男でしょうけど。
では、短いですがこの辺りにしておきます。