アニメ「天晴爛漫!」 2話の時代考証
タイトルに時代考証とありますが当方は専門家ではありません。なので勝手に調べた内容を記事としてアップします。
興味のある方のみお付き合い下さい。
女性の権利
「女はレーサーになれない」
アメリカで女性に参政権が与えられたのは1920年のようです。ただしこれは合衆国憲法での事らしく、州憲法ではその前に認められたところもあるようです。
この辺りについて詳しく語られていた記事はこちら。
女性の権利が認められた背景も語られています。
見出しだけザッと引用すると、
- 7世紀のアメリカでは女性に財産権はなかった
- 公教育も十分ではなかった
- 産業革命によって家庭での女性の労働負担が減った
- 愛国心を育むために女性を利用
- 社会問題を通じて芽生えた女性たちの連帯意識
- 奴隷解放運動と同時に女性の活動も活発に
これだけでもおおよその流れが分かりますね。詳しく知りたい方はリンク先でどうぞ。
アメリカでの女性の権利は上がったり下がったりと安定しなかったようです。1848年にセネカ・フォールズ会議というものが開かれていますが、その後も前進と後退を繰り返しています。
作中の1900年前後では差別的な発言をする人間が居ても仕方がないと言えるでしょう。
服装
男性はスーツ・サスペンダー・オーバーオール辺りでしょうか。女性の画像は余りないんですが、ワンピースを腰ヒモでくくっているのとジャケットにスカートといった辺りでしょうか。
そしてかなりの帽子率。
1900年のアメリカの写真はないかと検索していたらありました。『天晴爛漫!』の現在の舞台はロサンゼルスなんですが、恐らくそう変わらないでしょう。
写真は一枚ですが拡大できます。
やはり圧倒的にスーツが多いですね、それとオーバーオールもちらほら見られます。サスペンダーはスーツの下に着ているんでしょうか? ちょっと確認できませんね。女性の方は色合いを除けば同じようです。
そしてほんとに、帽子率高すぎ!
作中の帽子の方が少々カラフルに見えるでしょうか。写真の帽子も良く見ると少しずつ違うんですが、一見どれも同じに見えてしまいます。
この辺りはアニメの絵的に色を付けたのかもしれません。
ジーンズ
元ボクサーの履いていたジーンズ。こちらも時代的に存在していたようです。
ゴールドラッシュに湧く北米の鉱山で働く多くの鉱夫の悩みのひとつは、作業中にズボン(パンツ)がすぐに掏り切れてしまうことだった。1870年、仕立て屋のヤコブ・デービスは、既に設立されていたリーバイス社のリーバイ・ストラウスから仕入れたキャンバス生地を用いて銅リベットでポケットの両端を補強した仕事用パンツ(ワークパンツ)を発売し、これが鉱夫らの好評を博した。ジーンズは最初、鉱夫らの作業着であった。
少々長いですがジーンズの誕生話です。当時のジーンズはファッションではなく作業着の意味合いが強そうですね。
この元ボクサーの殴られ屋も前に鉱山か何かで労働をしていた可能性もあります。
ちなみにオーバーオールも作業着です。
オーバーオールはアメリカ開拓時代のゴールドラッシュの頃、作業員の要望によって作られたテントなどに使われる丈夫なキャンバス地の胸当て付きのパンツが始まりだと言われています。
移民
「なんだぁ? ここは動物園か?」
この発言から少し気になっていたので調べました。
引用すると長くなるでザックリと、
中国系移民
1846年頃のゴールドラッシュで中国移民が急増、1882年に中国人排斥法によって中国からの移民が禁止される。
シャーレンは親の代(かもっと前)からの移民です。その設定にはこの法律が関係しているのかもしれません。
日系移民
1884年に明治政府が海外渡航を許可。中国人に代わり日本からの移民が増加。
1905年に日露戦争で日本が勝利、黄禍論(黄色人種脅威論)が加熱。同年にアジア人排斥運動。
何やら雲行きが怪しいですね。天晴たちも長居すると危険な目に会うかもしれない……。
まぁ、フィクションなので結末次第ではこんな歴史的事実も記憶から消し去りましょう。とりあえず1900年前後では大丈夫という事で。
ちなみに日米関係はこのまま悪化して行き、1924年の移民法によって日本からの移民は全面禁止となります。そして第二次大戦へと向かう──。
ガソリン車
「ああ、やっぱり! なぁこれ、ガソリン自動車だろ」
ガソリン自動車誕生(1886~1900)
天晴がこの知識をどこで手に入れたのかは不明です。
この記事には他にも興味深い事がいくつも書かれているんですが、それも今後引用する事になると思うのでその時までとって置きます。
そして調べ物続きで目がチカチカしてきたのでこの辺りにします。うーん、視力を測るのが怖い。