アニメ「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」の特徴について数話観ただけで語ってみる
1話と2話を観ただけだが思ったより面白かったので書いてみる。原作には触れていないのであくまで序盤のみの感想と思って貰えると助かります。
特徴
異世界もの
こう書くと「待て待て!」という声が聞こえて来そうですが、ジャンル的にはそう間違っていないでしょう。
正確にはVRMMORPG(VRヘッドセットを付けてプレイする没入型の多人数参加型RPGゲーム)というジャンルになります。一応SFですね、VRゲームは既に存在していますが、ゲーム上で再現できる動きは頭と手の動きのみです。現段階では走ったり飛んだり出来ない。
ならなぜあえて異世界ものと言っているかと言うと、ユートピアだからです。現実社会にある問題やしがらみを全て捨てて、新しい世界で好きに生きたいというのが異世界転生・転移ものの主なテーマになっている。この作品もそれに属していると思っています。
萌え+チート
一番の特徴はこれではないかと思われます。女の子が主人公というのもあるとは思うんですが、それ以上に主人公がドヤらなくなった。この変化は大きいと思います。
積極的に前に出ない・運良く敵を倒す・うっかりで上手く行く、等のドジっ子属性のようなものが随所に見られます。これによって今までの多少鼻に付いた「なろう系」主人公の持っていたクセのようなものが消え去ってしまった。
(一応フォローを入れると、今までの「なろう系」作品の原作を読むとコメディー寄りに書かれている事が多いです。コメディーなので主人公もそれ程ドヤっている感じはない。でもそれを映像にするとどうしてこんなにアクが強く感じてしまうのか……? それについては謎です)
スローライフ
今までの「なろう系」作品は一定のパターンがありました。
- 困っている人を助ける
- スキルを手に入れる
- ハーレムが増える
これは裏返すと、必要とされたい・成長したい・モテたい、という欲求の表れであったりするんですが、この話はまた別の機会にします。
この作品ではそれらのテンプレートが少し形を変えて出て来ています。
- イベントや冒険をする
- 世界の広がりがある
- 仲間が増える
イベントというのは2話であった大会であったり、恐らく今後もゲーム内イベントが用意されているでしょう。
世界の広がりはアップデートの事であったり隠し要素であったりと、探したり偶然見つけたりするものです。
仲間に関しては今のところそこまで描かれていませんが、OP映像を見る限りそうなるでしょう。
これらの根本にあるものは何か? それまでの「なろう系」にあったのは自己顕示欲であったり承認欲求でした(それが悪いという訳ではありません)。
個人的な回答は、楽しく生活したい。というそれだけの欲求だと思います。だから恐らくですがこの作品では主人公が作品世界を自分の決断で大きく変えたりする事はないのではないか、と思っています。もちろん先の事は分かりませんが。
結論
非常に気楽に観れる作品です。それでいてどこか心がウキウキするのは、きっと過去にMMORPGをやっていた記憶が刺激されるのだと思います。
設定的に描こうとしている事が何となく分かるんですよね。主人公はチートではなく誰も選ばなかったステータス振りやスキルを取得した、その結果としてバランスブレイカーになってしまった。
いつもの「なろう系」ならそこで無双するんですが、この作品の主人公は別にそんな事を望んでいない。俺の方が強いとか異性に囲まれてニヤニヤしたいという欲求も特にない。
じゃあ他に何を望むのか? 自分が属するコミュニティーがあって世界が明るく開かれたものであって、更に言うなら冒険やイベントというちょっとした刺激があればいい。
これって凄く、幸福な事ですよね? 女の子が主人公なのもうなずけるところがあります。
蛇足
そういえばこの作品が世に出る事で一つの事が決定されてしまいました。
「極振り」を何と読むか? この単語はネットゲームの中で出来た造語です。ネットスラングと同じく読み方を決めずに生まれた言葉です。
(他の例で言うと「くぁwせdrftgyふじこlp」等)
それがこのアニメによって読み方が決定されてしまった。
痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。 - Wikipedia
『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』(いたいのはいやなのでぼうぎょりょくにきょくふりしたいとおもいます)
「きょくふり」が正解です。
以前にこの言葉の読み方について「ごくふり」勢と対立した経験があるんですが、二十年越しに回答が出てしまいました。
やはり私は間違っていなかった……! と、それだけの話です。