アニメをっち

アニメの感想、持論などを好き勝手に書いております

アニメ「夏目友人帳」について今頃語る

  dアニメストアにあったので一期の1話を視聴。最初から扱っているテーマにブレがなくて、改めて凄いなと思いました。

 特に今この作品を扱う意味もないんですが(七期のお知らせとかあったら良かったんですけどね)、好きな作品なので一度は触れておきたいと思います。

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(c)緑川ゆき白泉社/「夏目友人帳」製作委員会

 

 特長を三点

  まずこの作品の特徴と思われる部分を三点挙げます。

 

  • 妖怪を扱っているのに孤独がテーマ
  • 仲介者
  • 恐怖演出

 

 それぞれについて語ってみたいと思います。

 

妖怪を扱っているのに孤独がテーマ

 妖怪物といえば何が浮かぶでしょうか? 主に教訓めいた話やこの世界の不思議を描いた作品。やはり代表作は『ゲゲゲの鬼太郎』だと思います。(『妖怪ウォッチ』……? 知らない子ですね)

 妖怪という人外の存在によって人の愚かな行いがいさめられる。そんな内容のものが主流だったように思いますが、この作品では違いました。

 

 一貫して描かれているのは孤独です。それは妖怪が見えてしまう主人公の孤独であったり、その祖母が持っていた孤独、更にはクラスメートや妖怪の孤独までが描かれます。

 妖怪の孤独、と書いて自分でも首をかしげてしまいますが、この作品を観た方なら理解して貰えるでしょう。

 

仲介者

 主人公には妖怪の姿が見えます。しかしそれは特権的なものではなく、選ばれた存在というような優れた点としては描かれていません。むしろ見えるせいで損をしている。

 しかしそんな彼らと関わる事で、その妖怪自身の事や人間との関係について知る事になる。そんな話がメインです。

 

 なので主人公がストーリーの当事者である事は実は少なかったりします。主に巻き込まれる話が多いですが、主人公自信の変化も少しずつ描かれています。

 

恐怖演出

 実はこれ、重要じゃないかと思っています。この作品も妖怪物の流れは一応汲んでいて、主人公がおどろおどろしい妖怪に追いかけられたり深夜に急に襲われたりといった恐怖演出が度々あります。

 エンタメを意識されてるんだと思いますが、この恐怖演出やミステリーの要素もあって物語の中にグイグイと引き込まれて行く。

 当然かもしれませんが後になればその妖怪がなぜそんな事をしたのかの説明もされるし、その理由に無理を感じた事はありません。

 そんな手際にもうならされるものがあります。

 

妖怪という存在

  作中キャラクターの半分は妖怪ではないかと思えるほど数多くの妖怪が登場します。しかしそれが全て恐ろしい姿をしているかというとそうでもなくて、人と変わらない姿をしたものや神に近いような存在までが登場します。

 妖怪の定義はかなり広く、荒神と呼ばれる危険な存在からアニミズムのように物に宿る神、人にイタズラをして喜ぶような小さな存在まで多岐に渡ります。

 詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

妖怪 - Wikipedia

 

違った存在としての妖怪

 主人公は彼ら妖怪の姿を見、話す事が出来るのですが、根本的に人とは違った存在として描かれています。例えば人の判別方法は匂い(もしくは精神性のようなもの)、時間感覚の違い等、他にもあるかもしれません。

 根本的には分かり合えない者。しかしそんな存在たちと触れ合い、彼らの中に自分と同じ孤独を見る。実際に悲しむ妖怪も居るんですが、基本的に彼らは余り表情を見せません。

 

 なので彼らが本当に寂しいのか、孤独を感じているのかは分からない。しかし視聴者は主人公の目を通して彼らを見、そしてそこに自分たちの孤独を発見して共感する。

  この距離感や作者さんの立ち位置については余り語られていないかもしれません。まぁ、合ってるかどうかも分かりませんが。

 

感傷のような悲しみ

 孤独について描かれていますが、余り激しい感情は描かれていません。それこそ恋人が倒れて泣き叫ぶといったような大げさな表現はほぼ出て来ません(ただの例えです、特定の作品について言っている訳ではありません。多分)

 この辺りのバランス感覚も好きな要素です。

 

 妖怪たちは急にやって来て自分たちの勝手な要求を突きつけ、そして何事も無かったように去って行く。しかし彼らはどこか憎めなくて、関わった事が迷惑どころか名残惜しく感じてしまう。不思議な作品です。

 

七期があれば……

 本当は一話一話解説して行きたいぐらい好きな作品ではあるんですが、なぜにこのタイミングで? と自分でも思ってしまうところはあるので、今はやめておきます。

 もし七期があるならその時にやるか、よっぽど他に書く事がないならGyaoの無料配信に合わせてやるのもいいかもしれない。大体いつもGyaoで配信されてるイメージがあるので。

 

 ともかく、いい作品です。少女漫画が原作だ、というのは言われなければ気付かないぐらいなので、男女どちらにもおススメできる作品だと思います。

 下手したら老若も問わない?