アニメをっち

アニメの感想、持論などを好き勝手に書いております

アニメ「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった...」の一話を観たから語ってみる

 名前は聞いていたけど触れていなかったジャンル、悪役令嬢もの。観てみたら思ったより面白かったのでちょっと書いてみる。

 

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© 山口悟・一迅社/はめふら製作委員会

 

特長三点

 まず特長を三点挙げる。

 

  • 悪役令嬢というジャンル
  • ゲーム内への転生
  • ギャルゲ的

 

 それぞれについて解説する。

 

悪役令嬢というジャンル

 「小説家になろう」というサイトに出入りしていた事があるので存在は知っていた。何しろタイトルに「悪役令嬢は○○」とか「○○な悪役令嬢は」等と、とにかく分かりやすくて目に付くのだ。

 それでもそんなジャンルに手を出さなかったのは女性向けの空気が強く(実際、いくつか序盤だけ読んだがそうとしか思えなかった)、ハードルが高く感じたのは間違いない。

 

 このジャンルに詳しくない方の為にザッと説明してみたい。といってもこれを書いている人物も詳しい訳ではないので、説明というより調べた結果だ。

 

dic.nicovideo.jp

「悪役令嬢」的な立場にあるキャラクターを主役に据えた自作小説

 「寄宿学校で主人公の少女をいじめる富裕な家の娘」や「わがまま放題のねじ曲がった性格に育ってしまった令嬢」 

 ぼんやりとしたイメージが共有されている「典型的な悪役の令嬢」を大げさに戯画化(パロディ)したようなキャラクターを主役に据える作品なども登場した。

 

 まとめると、フィクション上の嫌な女キャラって居るよね? そいつらを主役にしてパロディ作品作ったら面白いんじゃない? という辺りでいいだろうか。

 

 しかしこのジャンルもかなり手広いらしく、中には陰湿なイジメがあったり恋愛のドロドロが描かれるものもあるようなので注意が必要。らしい(リンク先のコメントで読んだ)。

 

ゲーム内への転生

 「なろう系」ではお馴染みと言える、ゲームの中に入ってしまった! というやつ。

 それでもこの作品ではステータスやスキルがある訳ではない。1話で主人公が剣の練習をしたり魔力を上げようと努力しているが、それらのパラメーターが表示される事はない。

 いわゆるRPG的な成長や魔王を倒すといった目的のある作品ではないのだ。

 

 つまり「なろう系」で顕著であった、数値が上がる事でのモチベーションアップやスキルを得る満足感を目的にした作品ではない。(しかしハーレム要素はあるかもしれない、無駄にメンバーが増える事はないだろうが)

 ゲームが舞台なのに成長要素がない? では一体何を目的にしているんだ? というところで次の項目へ進む。

 

ギャルゲ的

 実際は乙女ゲームだが、個人的にはギャルゲーと言った方がシックリ来る。攻略対象の悩みを解決したり、一緒に何かをする事でそのキャラクターの心のつかえを取ったりと、ギャルゲの主人公は時に攻略対象の心に土足でズカズカと入って行く。そして相手の心を無理やりに開いてしまう。

 ネタバレになってしまうが、この作品の1話ラストで主人公がやった事だ。

 

 つまりゲームではあるがRPGのような自己の成長ではなく、他者への献身や心の解放に重点が置かれたものなのだ。

 まぁその動機がハーレムであったり死亡フラグの回避であったりと、非常に利己的であるという点は面白いが。

 

運命回避

 三点の特長からは漏れてしまったが、これも重要な要素だろう(というか書き直すのが面倒臭い)。

 ゲーム内で死亡するのが決定しているキャラクターになってしまった。ならこの状況からいかにしてそのフラグ(運命)を回避するか? というのがこの作品の大きな趣旨だ。

 作中で主人公は既に様々な行動を取っている、これはもう回避というより別の人生を作り出しているようだ。

 

 死亡フラグが見えているから、というのを考えても主人公の行動は非常に能動的だ。回避という形で自分を変革している。

 コメディという形を取ってはいるが、この主人公はとてつもないパワーで自分と周囲を変えようとしている。

 

 恐らくこの主人公が愛されるのはそういった能動性だろう。

 

こういうの、受けるの?

 ニコ動(dアニメストア)では、既に「今期の覇権」と言われている。

 しかしこの作品の持っている本質は、きっと今まで述べてきたような能動的で変化に富むものだ。いや、俺が間違っているのかもしれないが。

 

 それでもこういう作品が受け入れられる土壌があるのなら、何かを変えたいと思っている人たちが多いという事になる。まぁきっと考え過ぎだろうとは思うが、そんな勘違いかもしれないものも過去の記録して残しておく。

 変化を望む人が多いのはきっと悪くない、特にこんなご時勢だから変化に敏感でないと生きていけないだろう。

 

 

 最近は「なろう系」の作品から『本好き』や『防振り』、更にこんな作品まで出て来て嬉しいところだが、それらが全て女性主人公というのに少し寂しさを感じる。男の必要性がないじゃないか……、と。

 少なくとも視聴者の半分は男だろう、その男が自分たちを主人公にした作品を楽しめないのは少し悲しい事ではある。

 この作品で悪役令嬢というジャンルからまたアニメ化が決まれば、「なろう系」の枠も女性主人公で埋まって行くのかもしれない。『防振り』のヒット(ニコ動では評判が良かった)も考えるとこれはただの杞憂ではないだろう。

 

 ついでにもう一つ言わせて貰うと、挙げる作品のタイトルが一々長い! 書いてられるか!