アニメをっち

アニメの感想、持論などを好き勝手に書いております

アニメ「波よ聞いてくれ」の一話を観たから感想を聞いてくれ

 面白そうだと思いつつまだ観るべきではないと自制していた。だが予想外の空き時間が出来てしまったので、つい観てしまった。

 そしたらやっぱり面白かった、だから書く。

 

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©沙村広明講談社/藻岩山ラジオ編成局

 

ぶっちゃけ文化

 こんな言葉があるのかは分からないが、いつからか使われている「ぶっちゃけそれって○×ですよね」というやつ。一般的にはそう思われているのかもしれないが実際はこうですよ、というやつだ。

 いわゆる内輪ネタであったり豆知識であったりと、面白くはあるがげんなりしてしまう事もある。ぶっちゃけるのも悪くはないが、幻想を糧にして生きる人間も居るのだ。

 

 これに関しては良し悪しがある。

 

ぶっちゃけこの女

 この作品の主人公はそういう楽屋トークやぶっちゃけた話が好きな女性だ。悪い言い方をするとオッサン化している。

 

 恋に対する幻想も覚め、無理に自分を作って愛されようともしない。好き嫌いがハッキリしていて自分の感情に正直である。

 アニメに出て来る男ども(とあえて書く)の幻想で出来た「女の子」とはほど遠い存在、それがこの作品の主人公だ。

 

本気の女

 そんないい感じに出来上がった女。酒場で見知らぬ人間に絡んだりする女だが、自分を捨てている訳ではない。確かにサバサバした感はあるが、その実こころの奥にいかんともしがた情熱を秘めている。

 失恋の痛みであったり怒りであったり、そしてそのエネルギーで何かと戦っている。

 

 面白いのはここだ、ぶっちゃけな楽屋トークが好きな連中はこれをしない。何かを分かった風にしてどこか冷めている。ぶっちゃける事で幻想を捨てた顔をして、実はまだ引きずっているのだ。

 でもこの作品の主人公はそれをしていない(ように思えた)。

 

本音と建前と個人的感情

 世間には本音と建前というものがあるらしい、個人的にそれらには一切の興味もないので余り触れないが。ネズミ王国のマスコットの中には人が入っているとかいないとか、サンタクロースの正体が親だとか恋人だとかパパだとか。まぁそんなどうでもいいやつだ。

 ん? 例えがおかしい? まぁ適当に脳内変換して下さい。

 

 この国は型の文化であったりお約束であったりと、建前を好む傾向がある。だからそのアンチとして本音が爆発的な力を持ったりするが、正直その流れが余り好きではない。

 

ぶっちゃけ文化の歴史(というか思い出)

 しばらくオッサンの小言が続く、嫌な人は飛ばして貰いたい。

 

 昔、ダウンタウンという芸人がMCを務める「HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP」という音楽番組があった。その番組ではアーティストと芸人であるダウンタウンがフリートークをするコーナーがあって、なぜかアーティストも笑いを取る事を強いられた。

 

 芸人が笑いを取るのはいい、でもなぜ歌を披露しに来たアーティストまで笑いを取らなければいけないのか。そのコーナーではアーティストが自分たちの作品を見せるのではなく、お笑いのコンテンツとして消費されていたと思う。

 当時は楽しんで観ていたが、今は違和感を持っている。

 

 ついでに言うと同じ芸人が司会を務める「ダウンタウンDX」という番組だが、これも同様の構造を持っている。ゲストとして招かれるのはタレントや俳優だ、初期は大御所がやって来て話題になった。

 では番組内で彼らがやっていたのは何か? 人気や話題性、もしくは長い芸歴のある彼らがその番組で見せたのは「普通の人ですよ」というアピールだった。普通の人としてアピールし、芸人にいじられたり笑いを取ったりする。

 それが悪い事だったとは言わないが、そうする事でスターと言われる人たちの虚飾をはがしたのだ。

 

 当時、流行っていたこれら二大番組で行われていたのはイメージの解体だと解釈している。テレビで見かける遠い存在、スポットライトを浴びた特殊な人たち。彼らをただの人間におとしめて楽しむというのがそれらコンテンツの意味だったのではないか、と今は思っている。

 当然異論は認める、異論をくれ。

 

 ついでに「ロンドンハーツ」という恐ろしい番組もあったらしいが、残念ながらこれは観ていなかったので語るべき言葉が無い。でも人によってはこの番組の方が分かりやすいだろう。

 

 話によると、二股かけている男が彼女にそれをばらされる、そしたらその彼女は更に三股かけていた。なんて事をゴールデンタイムに放送していたらしい。

 恋に恋する少女が聞いたら恋愛不信になってしまいそうな番組だ。

 

ぶっちゃけの先にあるもの

 余計な話が長くなった。

 

 これらの経緯があって「ぶっちゃけ文化」というものが個人的には余り好きではない。さもそれが真実で世界の全てだ、と訳知り顔で話す人たちも余り好きになれない。

 それが全てじゃないって、ほんとは分かってるんでしょ?

 

 この作品はその先に行こうとしている気がする。ぶっちゃけで終わりではない、それが真実ではない。その先にある本気の本音だ、裏側をバラして終わりではない。

 この作品のその辺りに非常にクレバーなものを感じる、ぶっちゃけをしつつその先に一歩踏み込もうとしている。建前ではない良心や個人的な感情を盛り込もうとしている。

 

 冷めていないぶっちゃけ、本気で本音を語ろうとするその姿勢。コメディタッチでまだよく分からない部分もあるが(ラジオ放送中の熊と向き合うあの設定は何?)それも今後に説明されるだろう。

 

 ともかく何か、大人の本気が見れそうな気がする。そう思わせてくれる1話だった。先が楽しみだが今はまだ観るべきではない……、うん、いや? どうだろう。