アニメ「啄木鳥探偵處」 4話に登場した短歌の解説
今回は二首……、になるんでしょうか。啄木の短歌は一首、それにプラスアルファといったところです。
他にもいくつか補足する情報も足しておきました。
5首目 浅草の 凌雲閣のいただきに
「浅草の 凌雲閣のいただきに
腕組みし日の 長き日記かな」
「凌雲閣」の読みは「りょううんかく」、他にも作中では「長きニキ」と発音されていましたが、ニキは日記の事のようです。
解釈に関してはいくつかあるようで、
<解釈>浅草の凌雲閣の展望台で、自分の今とこれからをどうしたらいいのか腕を組んで思いつめたのだった。けれどなんの結論も出なかった。あの日下宿に帰ってから書いたローマ字の長い日記よ。
<私の想像を加えた歌の意味>
あの日は浅草の凌雲閣の最上階に上った。
そこで、腕組みをして下を見下ろした。
まるで、私が眼下の全ての上に立ったように。
その日の日記には、昂揚した私の思いが長文で書かれている。
なるほど、どちらにも解釈できますね。
個人的には塔の上で途方に暮れて、長々と無意味な文章を書き綴った。という解釈でしたが、塔に登ったのが始めてか何度も来て慣れているのかでも大きく意味が変わります。
皆さんはどう解釈されますでしょうか?
5.5首目? うす紅に おもいを残す鳳仙花
「うす紅に おもいを残す鳳仙花(ほうせんか)
息ふきかけてみし 雪待ちの爪」
この短歌、検索しても全く出て来ないので困りました。啄木の短歌ではないにしても大抵何かは出て来るんですけどね。
鳳仙花が入った短歌を探しても見つからず、諦めかけていたら公式ツイッターにこんな呟きがありました。
【短歌紹介處 番外編】
— アニメ「啄木鳥探偵處」公式 (@kitsutsuki_DO) 2020年5月6日
実は第四首に登場する短歌は他にもあります。
それが↓
「うす紅に おもいを残す鳳仙花(ほうせんか) 息ふきかけてみし 雪待ちの爪」
実はこの歌は啄木の歌ではなく、原作の伊井圭先生のオリジナル!
「啄木になって短歌を詠んでみたい!」という伊井先生の遊び心なのかも? pic.twitter.com/Y6N6pe4S2d
どうやら原作者のオリジナルだったようです。それは中々見つかりませんね。
この短歌の意味ですが、まず鳳仙花についてはこちらのサイトを参照。
女の子がこの花びらの汁で爪を染めて遊んだところから「爪紅」ともいう。
爪紅(つまくれない)は作中にも登場しました。今で言うところのマニキュアです。「雪待ちの爪」は季語が初秋である鳳仙花の例えでしょうか。「おもい」がひらがなになっているので掛詞(二つの意味)かもしれません。ここでは想いと重い辺りですかね。
という事で後は自分で考えてみて下さい。何度も詠んでいる内に短歌の世界が自分の中で広がっていくのを感じると思います。
短歌は自由に解釈していいものだと思っているので、間違っていても構いません。それはあなたの個性です、恥じるものではないでしょう。
凌雲閣
ここからは補足情報になります。
短歌の中にも出て来る「凌雲閣」はこちら。
明治時代に大阪と東京に建てられた眺望用の高層建築物。
wikiの画像とアニメの画像を見比べると、凌雲閣は右側の建物のようですね。左のは何だろう……? 調べても分からないので諦めました。
wikiにもありますが、この凌雲閣は1923年の関東大震災で半壊してその後に解体されたようです。現在でも跡地に石碑が立っているようですが、画像で見た感じ非常に寂れてますね……。
という辺りで記事を終わります。啄木の短歌はかなりの数があるはずですが、作中で使われるのは思ったより少ないのかもしれません。
記事的にはちょっと困ったところですね。