アイドルとは何なのか? を問うアニメ「22/7」
このアニメについて最初に得た情報は確かニコ動だったと思う。今期ワーストのアニメは決まった、という中々辛らつな内容だった。声の演技がひどいというのが理由だ。
その後、自分でもこの作品を観てそのコメントにうなずくところもあり、しかし他方で「これでいいのでは?」と思うところもあった。
その理由について書いてみたいと思う。
そもそもアイドルとは?
稲増龍夫やカネコシュウヘイは、日本の芸能界における「アイドル」を『成長過程をファンと共有し、存在そのものの魅力で活躍する人物』と定義している
「最近のアイドルは可愛くない」や「歌が下手」等と中々に手厳しい事を言っていた知り合いが居たが、アイドルとはそれでいいのだ。彼女らは成長過程であり、仮につたなく見えたとしても努力を積み重ねて来た存在である。
アーティストやスターとは違う、身近で将来性のある存在。それがアイドルなのだと個人的には思っている。
『22/7』のストーリー
内気で人と話すのが苦手。
不器用な正確のためアルバイトの接客でも笑顔がうまく作れない。
母親と妹のことをとても大事に思っている。
公式サイトのキャラクター説明から引用。
1話で描かれていた内容そのままである。内気で人の輪に入れない、笑顔を作るのが苦手。華々しい場所とは無関係に生きている、主人公はそんなキャラクターだったと思う。
アイドルとは真逆の性格だ。知らない人と関わり、誰にでも笑顔で接し、 スポットライトを浴びて生きる。それがアイドルという職業だろう。
そんなに合わないならアイドルなんてやめちまえ! という声も聞こえてきそうだが、ここまでの文脈を理解して貰えれば分かると思う。つまり、このキャラクターには成長する要素が山ほどある、という事だ。
人としての成長を描くアニメ
「22/7」というタイトルの作品だが、実際のアイドルグループとしても存在している。だからこれはアイドルアニメではなく、実際のアイドルを元に作られたアニメなのだ。
詳しくは各自検索して貰えると助かるが、某有名人のプロデュースという事でそれなりに話題になったらしい。
アニメとしてのクオリティーは高く、作画と見間違うぐらいのCGやわざと古めかしい曲調の音楽もまぁ好みによるが悪いものではないだろう。
唯一問題があるとしたら声優の演技だ。だがそれも計算されているのではないか、声優としての成長を見込まれた上で彼女らは自分のベストを尽くしている。そしてファンはその姿を我が事のように思いながら見守り、応援している。
彼女らは声優ではない、アイドルとして成長を見込まれた存在なのだ(改めてググったら「声優アイドル」とあったが、さして問題ないだろう)。
なのでこれは作品として完成したものではない、未完成さや成長する部分も含めて計画的に世に出された作品なのだと思う。
その思惑が上手く行くかは分からないが、そう思って観るとまた違った見え方がして来るのではないだろうか。