アニメをっち

アニメの感想、持論などを好き勝手に書いております

アニメ「ID: INVADED イド:インヴェイデッド」 8話の考察 part2

  前回の記事の続きです。

woti-samurai.hatenablog.com

 

 

 

「名探偵」とは?

「舞城節」とは

 まず「名探偵」とは? という前回から引っ張った疑問の答えていきたいと思いますが、その前に「舞城節」というものについて知る必要があります。これは脚本を書いている舞城王太郎という人のクセや特長のようなものです。

 それについて書かれていたのはこちらのサイト。

livedoor.hatenadiary.com

この設定はいったい何を表しているのかというと、古典的なミステリー小説への批評性です。つまり、ミステリーのお約束を意識しつつ、テンプレの用語を元の意味から滑らせている(しゃらくさい用語を使えば「脱構築」している)のがイド世界パートなわけです。ノックスの十戒Wikipedia)とか見るとわかりやすいですね。

 

 これはイドの世界の説明です。ザックリ言うと過去のミステリー作品をメタ視点で見ている、そんな感じでしょうか(微妙なニュアンスは省きます)。

 詳しく知りたい方はリンク先でお願いします、具体例も挙がっています。

 

 

 この前に読んだ舞城王太郎の『九十九十九』という小説の中にこんな台詞がありました。「名探偵とは作者の作り出した謎を解明する為の記号である」、正確ではありませんが意味はこんな感じ。

 見事にメタです、個人的にも馴染みのある視点ですが、しかしそれを作中にまで盛り込むというのが舞城王太郎という作家のようです。そこまで気付かなかった……。

 

 それを踏まえると今回のアナアキの台詞にも納得の行く部分があります。

 

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(C)IDDU (C)2019「イド:インヴェイデッド」製作委員会

「あのさぁ、普通一冊のミステリーに名探偵二人は両立しない訳。だって答は一つなのに、名探偵二人も居たらどっちかが間違える役になるでしょ」

 

 こういったお約束を踏まえた上で作品を作る、そういうスタンスを取られているようですね。もちろんメタの入らない作品も多く存在しますが。

 

「名探偵」の正しさ

 これらを踏まえて8話のラストの台詞を見直します。

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(C)IDDU (C)2019「イド:インヴェイデッド」製作委員会

「名探偵だから分かる。俺たちは、何もかもについて全て正しくて。これは、ここでこうしてこうなるように揃っていたんだ」

 

 名探偵として自分の役割を正しく演じている、主人公の台詞からはそんな自負が見て取れます。しかし「名探偵」とは何か? それがイドの中での役割だとしたら、その役割を与えたのは誰なのか?

 小説に作者が居るように、ミヅハノメにもそれを作った人間が存在します。そしてその意志に従って主人公は正しく動いている。そう解釈すると、果たしてその行動は正しいと言えるのか……?

 

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(C)IDDU (C)2019「イド:インヴェイデッド」製作委員会

「イドから出せ! 全部罠だ!」

 

 と、このように解釈できます。

 

 それっぽく書いてますが、合っているかは分かりません。まぁ間違っててもアニメを観ながら赤面する変なオッサンが一人出来上がるだけです。

 だからあれです、「許してよ」。

 

デコボココンビのロードムービー

 今回のメインはこれだったと思います。

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(C)IDDU (C)2019「イド:インヴェイデッド」製作委員会

 

経緯

 でもそこに至るまでの経緯を軽く説明します。

 序盤に穴井戸が主人公のイドに潜っていますが、残念ながら新人ちゃん(本堂町)のところまでは辿り着けませんでした。

 もしここで無事に辿り着いていればイドの中にあるミヅハノメの排出ボタンを押して一件落着(それで新人ちゃんが排出されれば)だったんですが……。

 さすがは穴井戸、期待を裏切りません。

 

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(C)IDDU (C)2019「イド:インヴェイデッド」製作委員会

 

 その結果、イドの中のイドに潜る人間と排出ボタンを押す人間の二人が室長のものと思われる新しいイドに潜る事に。

 

 こういった流れがあるんですが、残念ながら一度観ただけでは理解できませんでした。情報密度が高いのと、分からなくても観ていられるという手腕のたまものでしょう。

 

困難を経て絆が生まれる

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(C)IDDU (C)2019「イド:インヴェイデッド」製作委員会

 

 ロードムービーといえばやっぱりこれです、反りの合わない二人がいくつもの体験を通して心を通わせて行く、というもの。

  作中の短い時間でしたがその流れがしっかり描かれていました。これはイドから出た後の二人の関係性にも注目ですね。

 

 それと今までのイドは割りと危険なものが多かったです、序盤は特に。それが中盤から後半に入りだして円環のイドや砂漠のイドと、今までよりスローテンポなものが現れています。

 こうやってバリエーションを持ったイドを出す事でワンパターン化させない、こういう見せ方が出来るのも腕ですね。

 ここで一度落ち着いてからラストへと加速して行く訳です。

 

 

考察難民

 考察は終了です、私事なので興味のない方はブラウザバック等をお願いします。

 

 

 こんなブログをやっているのでアニメは観る方ですが、いわゆる「難民」という奴にはならないタイプの人間です。作品は終わる事で完結する物だと思っているので、拍手を送る事はあっても引きずったりする事はほぼないです。次の作品も始まりますし。

 それがこの作品に関しては終わって欲しくないと思うようになりました。その理由を個人的に分析すると「考察難民」です。

 カエルちゃんとは何なのか? ジョン・ウォーカーは誰なのか? ミヅハノメとは……。とあれこれ考える事が習慣化してしまい、答を出されるのが怖い。その先、自分が何を考えていいのか分からなくなる、最近そんな不安が頭をよぎるようになりました。

 

 謎や思考というものには案外依存性があるというのに気付いて驚いてます。

 そんな人間から言える事は一つ。

 

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(C)IDDU (C)2019「イド:インヴェイデッド」製作委員会

「気をつけろ! 全部罠だ!」

 

 とそんなオチ。

 いや、不安なのは事実なんですけどね。

 

 

 

 

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